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200キロ旅する謎のエイ ダイバー協力で生態解明へ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/8/23

ナショナルジオグラフィック日本版

大型のエイ「スモールアイ・スティングレイ(学名:Megatrygon microps)」は、ほとんど生態が分かっていない。

この魚は毒のトゲをもつアカエイ科に属し、ヒレを広げると最大2.2メートルにもなる。海にすむアカエイの仲間では最大である一方、目の大きさは一粒の干しブドウほど。大きな体をしているわりには、生きて目撃される機会はめったにない。

2000年代初頭まで、生きたスモールアイ・スティングレイの確実な目撃例はわずか2、3件しかなかった。しかし、生物学者のアンドレア・マーシャル氏らのチームは、ここ15年の間にモザンビーク沖で70匹のスモールアイ・スティングレイを特定。このエイの世界初の観測成果としてまとめ、オンライン学術誌「PeerJ」に発表した。

観測には、背中の斑点模様から個体を特定する手法を用いた。この手法なら、ダイバーやアマチュアの科学者が撮影した写真や動画を使って移動経路や行動を追跡できる。モザンビーク沖は、ダイバーに人気のスポットなので、彼らが撮影したエイに関するデータを集めて研究に反映した。いわば、ダイバーや観光客を巻き込んだ「クラウドソーシング」だ。

今回の研究では、モザンビーク南部のトフォ・ビーチにいたスモールアイ・スティングレイを200キロほど北にあるバザルト諸島でも確認した。その後、この個体が再びトフォ・ビーチに戻ったこともわかった。マーシャル氏によれば、アカエイの仲間でここまで長い距離を移動した事例は観測されていないという。大移動した個体はメスで、最初に目撃されたときは妊娠していたが、2度目はそうではなかったので、出産のために北へ向かった可能性もあるという。

非営利団体「野生生物保護学会(WCS)」の自然保護官レット・ベネット氏によると、モザンビーク南部には世界的に見ても多様なサメやエイが生息するという。「今回の研究で、それを裏付ける新たな情報が明らかになりました。この海域は、自然保護にとって重要な場所なのです」とベネット氏は話す。

この一帯には、バザルト諸島国立公園などの保護区域もあるが、保護されていない場所も残る。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月23日付記事を再構成]

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