実験と失敗、恐れぬ組織に 「アメーバ」精神生かす京セラ 谷本秀夫社長(下)

京セラの谷本秀夫社長
京セラの谷本秀夫社長

京セラの経営哲学の中核「アメーバ経営」は、第二電電(現KDDI)の設立や日本航空の経営再建なども手がけた創業者の名誉会長、稲盛和夫氏が考案した独自の手法だ。小集団ごとに採算管理を徹底、従業員の創意工夫を引き出す考え方で、バブル経済崩壊や世界金融危機などを乗り越え高収益経営を続けてきた。しかし、谷本秀夫社長(59)は時代の変化とともに京セラも転換期にあると説き、「今後は個性のある発想が必要」と強調する。

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――リーダーのあり方について稲盛氏から何を学びましたか。

「私は1982年入社ですが、私たちの世代ですと、稲盛に直接怒られたりすることはあまりありませんでした。稲盛の次くらいの先輩たちにはよく怒られましたが」

「稲盛がリーダーに求められる一番の資質としてよく説いているのが『人間力』です 。立場が上がるほどに『そうだな』と思います」

「社長就任にあたっては『人間性を高めなさい』と言われました。日々反省するとか、謙虚にしておごらずとか、利他の心とか、人間として何が正しいのかとか、入社以来、稲盛の講話をまとめた冊子で読んだりするなかで、散々たたき込まれてきたことです。やはり放っておけば人間、自分が一番かわいいわけです。それを抑えないといけないと思うことが大切なのです」

「稲盛に事業のことを報告しますが、最近は『ああしろ、こうしろ』とはほとんど言わなくなりました。そういう意味では、変えるべき部分は私自身が怖がらずに変えないといけないと思います」

人間として何が正しいかを念頭に

「稲盛に直接教えられたこと で一番印象に残っているのは『利他の心』です。八方よしではありませんが、やはり相手のことを考えないとビジネスは長続きしません。稲盛はよく『人間として何が正しいかを念頭に置いて判断しなさい』と話します。何か判断をするときは自分自身の育った環境や持って生まれたものが影響しますが、稲盛の教えを思い出すと、より的確な判断ができると思います」

――京セラの経営理念の中核に「アメーバ経営」があります。

「私が入社したころには、すでに確立していましたね。当時はまだ仕事でパソコンは使っていませんでした。だからアメーバ経営で使う採算表は電卓で計算していました。後に表計算ソフトを使うようになって採算表を作るのがとても楽になりました」

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