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オパールに閉じ込められた虫の化石 常識覆す発見

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/8/5

オパール化した化石は、オーストラリアのライトニングリッジからもたくさん出土している。ただし、その形成過程は、ジャワ島で見つかったという今回の標本とはおそらく異なる。ライトニングリッジのオパールは、かつて骨や歯が占めていた地中の空間にシリカを含む水が入り込んでできたもの。いわば型に流し込んで作ったゼリーのようなものだ。元の組織は残っておらず、「交代」化石と呼べるかもしれない。オーストラリアのアーミデイルにあるニューイングランド大学の古生物学者フィル・ベル氏は、このようにオパール化した化石片から、新種の恐竜を発見している。

「オパール化した化石は、何百万年も地中にあって、押しつぶされたり熱せられたり、あらゆることを経験したはずです」とベル氏は言う。そのため、昆虫がそのまま保存される可能性は、ありえなくはないものの、疑わしいと考えている。

バーガー氏を含む多くの専門家は、別の考えを持っている。琥珀でできていた標本が、何らかのメカニズムでオパール化したのではないかという説だ。

「直感的には、オパールに包まれた琥珀のかけらのようだと思いました」と言うのは、カナダのレジャイナにあるロイヤル・サスカチュワン博物館で琥珀の化石について研究しているライアン・マッケラー氏だ。ジャワ島では、オパール化した木の化石がよく見つかる。それを考えれば、樹脂がオパールでくるまれる可能性もありそうだ。

「通常、オパールは隙間を埋めるように形成されます」とマッケラー氏は話す。「その場合、木の中にある琥珀ごとオパール化することもあるかもしれません」。カナダで見つかったある琥珀の標本は、木片の割れ目を埋めるようにして形成されており、外側がシリカに変わっていたという。

「今回の標本も同じような過程を経たのかもしれません。しかし、化学的分析を行い、昆虫がどのようにして保存されたのかを詳しく調べるまでは、想像の域を出ません」

■標本の分析を検討中

中に閉じこめられている昆虫が何なのかについても、詳しい科学的分析が行われるまで推測を控えたいという科学者が多い。

しなびたように見える翅から、さなぎから羽化したばかりの成虫であるとも考えられる、と英オックスフォード大学自然史博物館の古昆虫学者リカルド・ペレス=デ・ラ・フエンテ氏は言う。しかし同氏は、その生態について「十分信頼に足る議論」をするには、正式な研究が不可欠だと強調する。

ドイツ、カールスルーエ工科大学の昆虫学者トーマス・ファン・デ・カンプ氏も、この虫の調査を希望する専門家の一人だ。詳細なX線スキャンを行い、虫の全体像を3Dで再現したいと考えている。

琥珀の中に閉じ込められた昆虫の化石はたくさん見つかっているが、それらは樹木に生息していた種である可能性が高い。一方、今回新たに見つかった標本がオパールだけでできているとすれば、異なる環境に生息していた生物について知ることができる貴重な機会になるかもしれない。

「琥珀の中以外で立体的に保存されている昆虫は、私たちの視野を広げるうえで非常に価値あるものなのです」とファン・デ・カンプ氏は話す。

現在、バーガー氏は、世界中の研究者や博物館の専門家と話し合いながら、どのように連携して標本の科学的調査を進めてゆくかを検討しているという。その後、標本を博物館で展示したいとしている。

「博物館に売却するかもしれませんし、寄付するかもしれません。私が所有したまま、展示用に貸し出すだけになるかもしれません。どうするかはまだ決めていません」とバーガー氏は話している。

(文 JOHN PICKRELL、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年2月4日付]

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