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先生は新規事業のプロ 答えがないことを徹底して体験

広がるプロジェクト型授業(1)

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NIKKEI STYLE

イノベーションが求められる時代。教育現場でも座学ではなく、学生が主体的に考えて行動する新しいスタイルの授業が増えている。本連載では「プロジェクト型授業」の様子を紹介していく。第1回は上智大学でデロイトトーマツベンチャーサポート事業統括本部の戸田裕昭氏が講師として担当する授業を取材。生徒が自らの志をアクションプランとして形作り、実践するための力を身に付けていく。

正解のない問いを考え続ける

「社会的価値創出のためのプロジェクト形成論」。授業名を聞くと、最近、教育業界で注目されてきている課題解決型プロジェクト学習(プロジェクト・ベースド・ラーニング、PBL)のような印象を受ける。まずはPDCA(計画・実行・評価・改善)やインサイト(消費行動の潜在意識)といったことを学習するのだろうか……? 記者が教室をのぞいてみると、全く違った光景が広がっていた。

「掃除機は電気だけを使うけれども、洗濯機は水も使うから環境に良くないのでは?」

「いや、洗濯機は回している間、ほかのことに時間を費やせるが、掃除機は費やせないから、洗濯機の方が優秀だと思う」

約30人の生徒らが「洗濯機」と「掃除機」のどちらが強いのかについてグループディスカッションをしている。もちろん、正解などない。ルールは、相手から聞いたことを必ず否定すること。「答えのない問いに対する答えを正当化するゲーム」という、常識を取り払って考える力を訓練することを目的とした授業だ。

他にも「なぜ学ぶのか?」「今何かを変えられる力を持ったとしたら何をするか?」 など、全14回の授業の前半では正解を探す姿勢を徹底して崩すように、学生に問い続ける。「未来を創るプロセスには答えがない。プロジェクトをあれこれ考える前に、答えがないということの体験をしてもらいたい」と戸田氏は語る。プランを作ってもどう実現するか、常識を取り払って考えていかなければ新しいことはできないからだ。

最終的には、それぞれ自分が実現したいビジョンとそれを達成するためのアクションプランを考え、最後の授業で発表をする。その準備として授業の後半では、講師の戸田氏が「マンダラチャート」をアレンジして作ったワークシートを使う。3×3のマスが9つ並ぶ合計81に区切られたマスの中央に自らのビジョンを書き、そのビジョンが実現された場合、誰がどのようになっているかを具体的にイメージしながら、1つひとつのマスを埋めていく。生徒らの机に身を乗り出し、「それは誰の課題?」「それが実現したら、世の中はどう変わってると思う?」と問いかけていく。

ビジョンは抽象的なものでも、書いていくうちに具体的な行動計画につながっていく。昨年この授業を経験した学生のなかには、「多様性を認めあえる社会」をビジョンに掲げ、移民の多いオーストラリアに留学先を決めた学生もいる。授業をきっかけに留学の目的も定まり、留学前に日本で外国籍の子供についてのアンケートをとって、その結果を基に留学先で教育機関を視察した。

新規事業の担い手から教育者にたどり着いた熱血先生

「世の中を良くしたいという学生は多いのですが、行動しないとただの"評論家"になってしまう。世界平和のような大きなビジョンも、自分で描いて行動していくことで実現に近づいていく。小さくてもいいから何かアクションを起こしてほしい。究極を言えば、その行動は『味噌汁を作る』みたいな小さなことでいい。細かくプロセスを刻んでいける人を増やしたい」 。18年度から上智大学で講師となった戸田氏は授業の狙いをこう語る。

実は戸田氏自身も、学生時代は迷いの中にいた経験がある。服飾の道に進みたかったが両親を説得しきれず、ビジョンのないまま大学に進学したことが、このような授業を展開する原体験にある。「今になって思うと、親が悪かったわけではなく、親を納得させられる行動ができなかった自分自身が悪かったのだとわかる。服飾の道に進んでもやれそうだと思わせるようなことを、何もしていなかった」(戸田氏)

戸田氏は大手メーカーで新規事業を手掛け、現職でも様々な企業・団体のプロジェクトを動かしている。地域活性化を手がけた経験からも、ビジョンを描き、発信し、行動していくと、それに共感する人や協力者が現れたり、自分自身に足りない知識や経験が見えてきたりして、実現に一歩近づくと実感しており、それを学生たちにも体験してほしいと考えている。

「ビジョンを持ち行動できる人材を出していきたい」

総合グローバル学部の桜井爽太さんは戸田氏の授業をきっかけに人生を大きく考え直した。授業が終了した時点では3年生の後半。授業では「笑顔を増やす」というビジョンを掲げたが、具体的なアクションプランには落とし込めなかった。就職活動をしながらも、「頭の片隅にいつも授業のことがあった」という。

「就活では自分がどうありたいのか、が飛んでしまっていました。このまま就職してしまったら、自分に対する自信ではなく、勤めている会社を誇るだけの人間になりそう」と危機感を持ち、2019年4月から休学という選択をして、現在では戸田氏の在籍するデロイトトーマツベンチャーサポートで地域プロジェクトのインターンシップに参加している。

桜井さんは授業前と後での自身の変化について、「授業を受ける前は地域の伝統的なお祭りを手伝ったり、地域を発信する動画作りなどを手伝ったりしていました。それ自体は楽しかったのですが、いつも勢いだけで行動しているような気がしていました。自分の提案に相手がのってくれないのは、結局、相手にとってのメリット設計ができていなかったから。自分が相手のことをいかに考えてない人間か、実感させられました」と振り返る。

「このプロジェクトをやりたいからこの会社に行くというような就職が今後は出てくるかもしれないし、そういう世界であってほしい。『A社とこういうプロジェクトをしたい』と言えるような、ビジョンに向かって行動できる人材を輩出していくサポートができれば」と戸田氏。授業後には有志の生徒で実際のプロジェクトに参加するプログラムなど実践の場も用意している。

昨年度は約10人の受講生有志が集まり、フットサルチーム「フウガドールすみだ」の広報活動を手伝う課外授業もした。今年度も地方自治体などと共同でのプロジェクトを計画する。「一歩踏み出したい」と考える学生の伴走を続けている。

(ライター 曲沼美恵)

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