音楽フェス「サマソニ」20周年 視線の先はアジア

日経エンタテインメント!

「現在の日本のフェス市場全体を見ると、僕らがやってきた『都市型』や『ジャンル型』も当たり前になっており、動員が厳しいところも多いと思います。特に、日本人アーティストのみのフェスだと、他と同じラインアップになってしまうジレンマとの戦いなのかなと。そこでどこで違いを生み出すかとなると、『環境』になってくる。その結果、各地でキャンプフェスや、エコなどを提案するライフスタイルフェスが増えているんだと思います。しかし、今後はそれさえも差別化できなくなる恐れはあります。もちろんフェスには様々な意味合いがあるので、一概にはくくれませんが。

僕たちの場合は、洋楽アーティストをブッキングするという、決して簡単ではないことを20年間続けてきました。なので、他のフェスと比べて、ラインアップで圧倒的に違うものを作れる自負がある。それに今年出演する、レッド・ホット・チリ・ペッパーズがいい例ですが、『彼らと共演できるのなら、サマソニには出演する』と言ってくれる日本のミュージシャンも多数います。つまり、国内アーティストでも差をつけることができるんです。

それにプラチナチケットのような新サービスも、僕らのような洋楽系プロモーターのほうが、世界のトレンドとしていち早く取り入れることができますしね。

最近のフェスで面白いと思うのは、IT会社のGMOが主催するダンスミュージックフェスの『EDC Japan』。運営制作などに携わっているんですが、あれは僕らのようなプロモーターだけではできない規模の予算をかけて、豪華なステージなどを作っている。今後も企業が主催者となり、こういうものをやりたい、見せたいとなれば、これまでにないフェスが生まれてくるかもしれませんね」

アジアの各国で開催したい

来年は、オリンピックに伴う会場の関係で休止となるサマソニ。十分な準備期間を取って臨める再来年以降は、どんなプランを描いているのだろうか。

「まずはサマソニを、この先もずっと続けていくことが一番だと思っています。その次の目標は、サマソニをアジアに広げていくことですね。アジアで、ワールドクラスのアーティストをこんなに呼んでいるフェスって、サマソニかフジロックしかないので。

17年に一度、上海でサマソニを開催したんですが、出演者のビザはもちろんのこと、演奏曲にも検閲が入るなど、国の許可を取ることが本当に至難の業で…。

今後は、各国の事情や音楽的趣向などを参考にしながら作っていく必要があると思っています。例えば、台湾なら日本のアーティストの受け入れが非常にオープンだから、日本人中心のラインアップでもいける。シンガポールは洋楽ファンが多いから洋楽を中心に、タイは地元のアーティストが強いから、そこにどう洋楽を組み合わせていこうかといった具合に。

そして同時に、日本のアーティストをアジアに出していく突破口に、サマソニがなれればなと思います。K-POPが世界を席巻しているように、日本のアーティストもどんどん世界で注目される存在になっていってもらいたいんです。また逆のプランもあって、アジアのアーティストを日本にもっと紹介したい。サマソニには『アジアンコーリング』という、アジアの若手アーティストが出演する枠があります。彼らで、国内を回るツアーができれば、サマソニに新たなシナジーを生むことができるのかなと思っています」

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2019年8月号の記事を再構成]

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