時代や業種を超えて、変わらない原理原則

ここでチームの生産性を高める、最も重要な要素として「心理的安全性」が挙げられ、その後、バズワードにもなっています。

グーグルはこの研究結果を15年11月に自社の情報サイト「re:Work」に掲載しました。その発表の中で、「心理的安全性は(成功するチームに含まれる単なる1要素ではなく)その他の4つの力を支える土台であり、チームの成功に最も重要な要素である」と述べています。

「心理的安全性」とは、チームメンバーがリスクを取っても大丈夫、安全だと感じ、お互いに対して弱い部分をさらけ出すことができる状態を指します。

成功するチームには「心理的安全性」のうえで、「信頼性」「構造と明瞭性」「仕事の意味」「仕事のインパクト」が大事。心理的安全性や仕事の意義・意味を提供できる、やりがいある仕事をメンバーに提示できるチームこそが成功できるのだといいます。

これらの結果はどれもその通りなのですが、リクルートOBの私としては、こうしたことはおおむね江副さん(同社の創業者、江副浩正氏)が同社創業からほどなくして以降、一貫して言っていたことなので、その意味で感慨深く感じるのです。ことさらに私の古巣を称賛しようという意図は、もちろんありません。要するに、日本とかアメリカとか、あるいは、80年代とか2000年代とかいったことではなく、もっと前の時代から、古今東西、実はこうした原理原則は変わらないのだということです。

これまでのことを、あえて一言でまとめると、チームの「心理的安全性」とメンバー個々人の「モチベーション」こそが、結局は良いチームをつくることにつながると考えられます。そして、良いチームをつくることができるということが、ミドルシニアの皆さん自身のキャリア価値や転職する際にあなたの価値を最大化することになるのです。

どうでしょう? おそらく皆さん自身が何となくでも思っていたり、やってきたりしことであり、また、「あの上司は素敵だな、尊敬できるな」という人がやっていることと、かなりの部分で合致するのではないでしょうか。

ミドルやシニアの皆さんはマネジメントにおいて、自分ではこれが望ましいと思う、このやり方でチームを良くしたい、と内心思っていても、なかなか確信も持ちきれず、「これでいいのだ」と決めきれないことも少なくないですよね。

そういう意味では、このグーグルのプロジェクトOxygenとプロジェクトAristotleの結果は、私たちの迷いを払拭してくれるというところにこそ、大きな価値があると思うのです。

ミドルシニアが転職で成功するために、グーグルが明らかにした「理想のリーダースタイル」と「理想のチーム像」をしっかり理解し、極力、それを実現することに務める。

できる人だと応募先企業があなたのことを思えば、鬼に金棒。改めて、これまでのあなたのマネジメントスタイルやチーム作りについてチェックし、このグーグルが最終解答を出したマネジメントスタイルとチーム作りの鍵を携えて転職活動に臨んでください。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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