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就活内定後は「ハイカツ」 希望の配属目指しアピール

2019/8/4

インターン中、社員(写真左)と相談する学生たち(東京都新宿区)

来春新卒採用の選考解禁から2カ月。内定をもらってひと安心かと思いきや、「今からが本番」と不安に駆られる学生がいる。今度は希望する配属先に入るためのハイカツ=配属活動が始まるという。いったい何をするのだろう?

■養成講座に参加

「内定がゴールではない。ハイカツの方が重要」。山口奈津帆さん(22)は6月に希望する商社から内定を得た。人事部に、希望する部署の先輩を紹介してもらう予定だ。通信系の企業に就職が決まった佐藤未来さん(21)は営業職のインターンを始めた。初対面の人との関わり合い方など営業方法を学ぶ。

就活を終えた学生の間で関心が高まっているのが、入社後に行きたい部署への配属をどうやって実現させるかというハイカツだ。インターン情報サイト「キャリアバイト」を運営するアイタンクジャパン(東京・新宿)の藤原義人社長は「内定者インターンや他社での長期インターンを通じてハイカツをする学生が増えている」と指摘する。

希望を伝える手段は多様化している。広告会社に入社予定の女性(22)は、20万円かけて希望職種の養成セミナーに参加。IT企業に内定した男子学生(23)は、イベントで手伝いをする中で行きたい部署を「匂わせる」作戦をとった。

なかにはSNS(交流サイト)を通じて連絡し「人事部に内定辞退をちらつかせながら希望部署を伝えた」というつわものもいる。

なぜ近年動きが活発化しているのだろうか。

そもそもハイカツが必要になるのは、学生の希望と配属先のミスマッチが原因だ。「先輩たちが入社後に苦しむ様子を見たので何かしなければと思った」と女子学生(22)は話す。

■職種絞り専門職で就活

新卒で配属部署が決まる際、人によって「当たり」や「外れ」があることを皮肉る「配属ガチャ」という言葉もある。就職みらい研究所の調査によると、学生の5割が配属先に不安を感じている。銀行に内定した女子学生(21)は行きたくない部署を避けるため、職務を絞ったエリア職に限定して就活をしたという。

パーソルホールディングス新卒採用統括責任者の佐藤裕さんは「企業が学生に寄り添う時代になった。希望を主張しやすくなったことでハイカツが当たり前になってきた」と分析する。

実際にハイカツで希望をかなえたのが、商社の入社1年目の男性だ。希望の部署が必要とする語学を取得するためスペインに短期留学。語学力をアピールし、配属を勝ち取った。

ある人事担当者は「3年前から人材の流出を防ぐため、新入社員の配属希望をなるべくかなえる方針に変わった」と話す。就職情報大手ディスコ(東京・文京)の調査では、1~3年目の社会人の約7割が職種・配属が希望通りになった。「学生はすぐに希望をかなえたいという意向が強くなっている」(佐藤さん)

ただ、配属は適性を踏まえ長いスパンを考え決まる。企業側には、希望部署につけなかった新入社員に対し「配属理由を詳細に説明するなど神経を使う」といった混乱も生じている。

■「長い目で見て」の声も

リクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川)の神谷明シニアコンサルタントは「今活躍している人も最初の配属が希望通りだった人ばかりではない。長い目でみて考えてほしい」と話す。

欧米では職種を限定して採用する「ジョブ型」が一般的。「ハイカツは新卒一括採用をする日本特有の現象だ」と佐藤さんはいう。一括採用では就活時に学生が希望についての本音を話せない現状があり、内定後のハイカツにつながる。若い世代ではジョブ型採用を支持する声も聞かれる。ハイカツが盛んになれば、企業は採用を含め人材マネジメントを見直すことが求められるかもしれない。

(大城夏希)

■内定辞退につながるケースも

ハイカツは企業にとっても「自主的にインターンで経験を積んでくれることで教育コストを減らせる」(メーカー)側面がある。インターンの採用面接に携わるアイタンクジャパンの藤原社長は「2年ほど前から人事部に勧められて応募する人が増えた」と話す。
ただ、他社でスキルアップした結果、内定辞退する例もあり企業にとって悩ましい面もある。情報関連企業に内定した女子学生(21)は「他の環境を知ることで内定先が物足りなくなった」として、再び就活を始める。
山田美里さん(23)は他社の就業経験をきっかけに内定辞退し、現在の会社に入社した。「ハイカツは企業との関係や自分の人生を見つめ直す機会になった」。内定獲得に必死だった就活時代に比べ、冷静に将来を考える時間になるようだ。

[夕刊2019年8月2日付]

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