加給年金もらえる? 年39万円、配偶者が65歳まで

写真はイメージ=PIXTA
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将来もらう年金の見込み額が夫婦合わせても少なく、老後が不安です。「ねんきん定期便」には載っていない「加給年金」などの加算部分があると聞きました。どんな夫婦であればもらえるのですか。

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対象者は約250万人

会社員だった人が65歳になって老齢厚生年金をもらい始めるときに、年下の配偶者らがいる場合、年金額が加算されます。加給年金といいます。厚生年金の「家族手当」とも呼ばれ、国民年金にはない制度です。対象者は2017年度で約250万人です。

加算額は本人の生年月日により異なり、1943年4月2日以降生まれであれば年39万100円(19年度)です。該当者は多く、金額も大きいので、夫婦の老後資金や働き方を考える際は、条件や仕組みを知っておくとよいでしょう。

厚生年金の加入期間が原則65歳時点で20年以上あることが前提です。その時点で配偶者が(1)65歳未満(2)恒常的な年収が850万円未満(3)厚生年金加入が20年未満――というのが条件です。現在は夫が年下の妻の生計を維持しているという夫婦が多いので、加給年金は夫側の年金に付くパターンが一般的です(図)。

配偶者の年金に「振替加算」

もらえる期間には限りがあります。配偶者(図の例では妻)が65歳になって自分の年金をもらうようになると打ち切りになります。「夫の年金が減って驚く人もいるが、妻が年金制度上自立するので『家族手当』はなくなる」と社会保険労務士の永山悦子さんは話します。夫婦の年齢差が大きければ加給年金が付く期間が長く、総額も増えます。

加給年金がなくなると今度は配偶者側の年金に「振替加算」が付きます。

振替加算を配偶者は一生受け取れます。いったんもらい始めれば離婚してもなくなりません。金額は生年月日で決まり、最低が年1万5042円、最高が同22万4500円(19年度)と、一般に加給年金ほど多くありません。1966年4月2日以降生まれの人は給付の対象外です。

振替加算は加給年金を受け取った場合のみ対象になる仕組みと思いがちですが、例外もあります。例えば妻が年上だと、夫に加給年金は付きませんが、妻が年収850万円未満などの条件を満たせば、夫が65歳になったときから振替加算を受けられます。ただし「その時点で妻は自分の年金をもらっているので、新たに振替加算の請求手続きをする必要がある」と社労士の永山さんは注意します。

繰り下げの間、加給年金は受け取れず

最近、年金の受給開始を遅らせて金額を増やす「繰り下げ受給」が注目されていますが、選ぶ際は加給年金などに注意する必要があります。本人が厚生年金を繰り下げるとその期間は加給年金は受け取れず、配偶者が基礎年金を繰り下げると期間中は振替加算をもらえなくなるためです。

[日本経済新聞朝刊2019年8月3日付]