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食の達人コラム

スイス・北欧…日本酒未開の地 大阪の父子3人が挑戦 世界で急増!日本酒LOVE(12)

2019/8/9

大分の蔵元を招いてスイス料理とのペアリングナイトを開催。右端が小林佑太朗さん

スイスを中心に欧州で日本酒の輸出・販売に精力的に取り組む経営者がいる。小林順蔵商店(本社・大阪市)の代表取締役・小林佑太朗さんだ。同じく代表取締役の父、小林義明さんと、弟の小林研二朗さんと3人でタッグを組んで事業を営んでいる。「父は総監督、私はトータル実務と欧州担当、弟はアジア担当です」と佑太朗さんは話す。

佑太朗さんは三代目。祖父の小林順蔵さんが1890年に創業し、貿易商社として経営してきた。祖父の代はオーストラリアなどから羊毛を買い付けていたが、時代とともに品目は変化。日本酒に着手したのは父の代からで、約10年弱の貿易実績がある。現在は西日本の蔵元を中心に20~30蔵の日本酒を取り扱う。

日本酒を事業の柱にしたきっかけを佑太朗さんは「スイスで信頼できるビジネスパートナーと出会ったから。マークさんの『スイスで日本酒を普及させたい!』という熱意に動かされたのです」と語る。

スイス人のマーク・ニデッガー氏は日本に留学経験もあり、日本酒はもちろん日本食全般に精通していた。そんなマークさんに出会い、最初は手伝い程度からスタートしたが、次第にマークさんの情熱や、蔵元の歴史あるストーリーに感銘を受けて、どんどん親子3人で日本酒の世界にはまっていく。

世界最大規模のワインイベント「プロワイン」で日本酒ブースに立つ佑太朗さん

日本酒を海外で普及させる場合、まず現地の和食店に置いてもらうケースが多い。現地在住の日本人客も多く、和食とのペアリングとして日本酒を提案しやすいからだ。しかし、マーク氏は最初から「ローカル客に日本酒を浸透させる」という考えを貫いていた。

「自分たちは後発なので、大手商社などとは違うスタイル、マークさんのようなスタイルで、現地の食文化にゼロから日本酒の文化を根付かせたいのです」(佑太朗さん)

イギリスやフランスなどでなく、スイスや北欧、スペインなど、「日本酒未開の地」に輸出し、和食以外のレストランなどで現地の人々にダイレクトに訴求できる店に卸している。当然、日本酒を知らない客ばかりなので、提案するのはひと苦労だ。蔵元を海外までアテンドして日本酒の試飲会を現地で開催したり、現地のディストリビューター(日本酒を卸販売している酒事業者)や小売業者、レストランなどと一緒にプロモーション活動にも積極的に取り組んでいる。

佑太朗さんはイギリスに留学経験もあり、欧州文化になじみがある。「欧州には成熟したワイン文化があるので、日本酒も伸びしろがある。非常に面白いマーケット」と意気込む。日本酒の産地や蔵の特徴など、知識が増えれば増えるほど、自分なりに酒のこだわりも出てきてどんどんハマるのが日本酒。それはワイン文化にとても似ている。

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