アニメ映画『ペット2』 笑い満載、動物の大騒動
「怪盗グルー」シリーズのアニメスタジオ、イルミネーションがペットの大騒動を描いたCGアニメーション「ペット」。「ペット2」は、2016年に公開され国内興行収入が42億4000万円の大ヒットとなった同作の続編だ。
主人公の犬マックスの物語を主軸に、サブとして白いポメラニアンのギジェットと捨てられた元ペット軍団のボスだったウサギのスノーボールの物語が交互に描かれる"3本立て"。
ニューヨークで暮らすマックスとデュークの飼い主ケイティは結婚し、息子リアムが誕生する。マックスはリアムと仲良くなるが、リアムの安全を心配するあまりストレスから首をかくようになり、エリザベスカラーを取り付けられてしまう。ある日、マックスはケイティたちと家族旅行で田舎に出かけることになり、彼女の親戚が経営する農場で農場犬のルースターと出会う。
一方、ギジェットは旅行に出るマックスからお気に入りのおもちゃを預かるが、同じアパートに住み数十匹の猫が暮らす部屋に落としてしまう。ギジェットは猫部屋に侵入しておもちゃを取り戻すべく、太った猫クロエから猫になる方法を伝授してもらう。
そしてスノーボールは、新たな飼い主の少女との生活の中で、自分をスーパーヒーローだと思い込んでいた。ある日小型犬シーズーのデイジーが彼の元を訪れ、悪徳サーカス団にとらわれたホワイトタイガーのフーを助けてほしいと頼み込む。スノーボールとデイジーはサーカス小屋に向かう。
心配性で臆病なマックスが農場犬ルースターとの出会いをきっかけに、次第に物怖じしないように成長する姿が感動を呼ぶ一方、ギジェットとスノーボールのくだりは「ミニオン」のスタッフらしい、いたずらと悪ふざけの笑いが盛りだくさん。ギジェットが猫になろうと猫耳カチューシャを付けたり猫のように着地する特訓をしたり、スノーボールがスーパーマンのように青い衣装にマントを身に着けて奮闘する姿はおかしくもあり愛らしくもある。
新キャラで異彩を放つのがルースターだ。農場で飼われている牛や羊の群れをしっかり管理したり、危険な目に遭ったマックスを助けるなど、威厳のあるたたずまいを見せる。声を担当したのはハリソン・フォード。アニメへの出演は初めてだそうだが、口数が少ないながらも「もっとセリフが聞きたい」と思わせる名演だ。
日本語吹き替え版は前作同様、マックスをバナナマンの設楽統、デュークを日村勇紀、ケイティを佐藤栞里、新キャラのルースターを内藤剛志、デイジーを伊藤沙莉が担当するほか、宮野真守が悪徳サーカスの団長セルゲイを吹き替えている。
3つの物語に分かれたペットたちの大騒動はやがて1つに収れんし、ラストにはアクション性のある見せ場が待っている。人々が行きかい活気にあふれるニューヨークの街並みや、様々な生き物が暮らしホタルもいる農場の風景も素晴らしい出来栄えだ。
(「日経エンタテインメント!」8月号の記事を再構成 文/相良智弘)
[日経MJ2019年8月2日付]
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