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鳳蘭さんの輝き お客さまの笑顔が大好き(井上芳雄)

第49回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。6月23日に『レジェンド・オブ・ミュージカル in クリエ』の第4回を催しました。ミュージカル界のレジェンドをお迎えして、日本のミュージカル創生期の話を、僕がホストとしてうかがう企画です。今回は鳳蘭さんに来ていただきました。鳳さんは、パフォーマンスの素晴らしさも含めて、エネルギーが満ちあふれてとまらないという様子で、バイタリティーに圧倒されました。

鳳さんは1964年に宝塚歌劇団に入団。70年に星組トップスター就任。76年の『ベルサイユのばら』でフェルゼン役、77年の『風と共に去りぬ』でレット・バトラー役といった伝説的な作品に出演されました。そして79年に宝塚を退団。80年に『ファニー・ガール』で東宝に初出演以降、今年の『ラブ・ネバー・ダイ』に至るまで約40年間、多くのミュージカルで活躍されています。

その長きにわたって第一線で活躍されている秘けつや苦労話をうかがおうと、作品ごとにいろんな質問を考えていたのですが、鳳さんの受け答えはいつも同じ。「あまり覚えていないの」と「苦労はなかったわ。持って生まれた才能だから」。最初は、お客さまの受けを考えてのフレーズかと思いましたが、トークショーの最初から最後まで、90分間それを貫かれました。そんなゲストの方は初めてなので驚いたし、それをできるのもすごい話術です。

何を聞いても答えが一貫しているので、僕としてはリアクションのバリエーションを増やすしかなくて、そこは試されているみたいな気分でした。最初こそ「僕もそういう芸風なんです」とか「謙遜しないのって楽ですよね」と言っていたのですが、どんどんそれだけでは対応しきれなくなり、「聞かなきゃよかった」とかいろいろ言って、最後には椅子から転がり落ちるという初めてのリアクションまでやりました。

でも、鳳さんのトークはお客さまに大受けで、舞台にいると客席から笑いの波が来るのを肌で感じました。鳳さんは、ご自身のことを「異常なサービス精神」があって、「目の前にいるお客さまが、にこにこと笑っているのが大好きなの。悲しそうな顔をしたら、どうやってこの人を明るく、幸せにしようと思ってしまう」とおっしゃっていましたが、まさに鳳さんだから生まれる場の空気でした。

話を聞きながら、おこがましいですが、自分と共通点があるとも感じていました。僕も、昔のことはあまり覚えていないし、謙遜しない芸風でもあるので、方向性は似ています。ただ僕の場合は、意識してそう振る舞っているところもあるのですが、鳳さんは本当に昔の作品のエピソードが出てこなかったりして、根っからおおらかな人柄がうかがえます。

一方で、繊細さもお持ちです。それを感じたのは、『ベルサイユのばら』から『愛あればこそ』をデュエットさせていただいたとき。歌っている最中は、僕の目をしっかりと見て気持ちを伝えてくれて、ブロードウェイのスターと歌っているみたいでした。そして、歌い終わったら「私の息にあわせてくれて、すごく歌いやすかった」と言っていただきました。「私がいつも人にあわせるほうだから、よく分かるの」とも。

鳳さんは華やかで前に出ていくタイプの女優さんではあるけど、一緒に歌ったり、演技している人のことをすごく気にしていることが伝わってきました。いろんな方が鳳さんのことを、とても繊細なところがある、と言われるのですが、僕もそれを感じました。大胆さと繊細さが共存しているのが鳳さんの魅力。それはスターの条件でもあるのでしょう。

歩みを止めることのない人生

トークショーが終わった後、打ち上げで乾杯してお話しさせていただいたときに、印象に残った言葉があります。「鳳さんたちの時代のスターは個性が強いし、濃いですよね。それが今は、自分も含めてかもしれないけど、どこか押し出しが弱かったりして、薄味になっている気がしませんか」と聞いたところ、こんな答えが返ってきました。 

「私たちの時代にも、薄味の人はいっぱいいたのよ。それはいつの時代も同じ。今も残っているのが、個性の強い人たちだというだけのこと」。その言葉からは、時代を超えて生き残ってきたという強い自負が伝わってきましたし、それを成し遂げるだけのバイタリティーも感じました。僕は目を見開かされた思いで、歩みを止めることなくひとつのことをやり続けることのすごさや大事さを感じ、自分もそうありたいと願いました。

井上芳雄
1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第50回は8月17日(土)の予定です。

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