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一人パリで修行 子どもが自慢できる母になるために 石川芳美メゾン・ランドゥメンヌ・ジャポン社長(上)

2019/8/26

石川芳美さんはパリや東京でベーカリー18店を経営する
子を育てるということは、次の時代をつくること。どんな価値観をもった人間になるかは、子育てが左右する。でも、一人ひとり個性も成長スピードも違う。もちろん、育てる私たちも。では聞いてみよう。世界をよく知り、がんばって働き、自分らしく伸びやかに生きる女性たちに。子育てで本当に大切なことが見えてくるはずだ。

1回目はパリや東京でベーカリー「メゾン・ランドゥメンヌ」18店を経営する石川芳美さん(52)に聞いた。約20年前に離婚し、3人の子どもと離れて一人フランスへ。フランス人男性と再婚し、2007年にパリで、15年に東京で店を出す。どの店も天然自然酵母を使って長時間発酵させる伝統的な製法を引き継ぎ、仕込みから焼きまでを手掛ける。今は夫と娘と共にパリで暮らしながら、日本とフランスを頻繁に行き来する。一時は心を閉ざした子どもと何でも話せる関係を築きあげ、「自慢の母」になった背景には、石川さんの「絶対にあきらめない覚悟と努力」があった。

約20年前に離婚し、3人の子どもと離れてフランスに渡った

■子どもを信じて、やりたいことを全力で応援する

この春は1カ月、日本に滞在しました。羽田空港に到着して、最初に向かったのは三男がいる福岡。大学を卒業し、ギタリストとして活動を始めたのです。会社員の次男も住んでいる京都から駆けつけ、一緒にライブにも行きました。昨年の秋以降、三男とは進路については何度も話し合ってきました。最初は就職するように言ったけれど、本気だと分かってからは応援することにしました。やれば答えは出る。気持ちを押さえつけても封じ込めても、後から必ず出てくるものです。だから子どもを信じて、やりたいことを全力で応援した方がいい。私自身、やりたいことを押さえつけて心を病み、子どもと離ればなれになりました。同じ思いはさせたくないのです。

私は東京で生まれ、広島で育ちました。子どもの頃から好きなことには熱中する性格で、3歳から始めたオルガンはプロを目指して猛練習しました。20歳で結婚し、22歳で長男を出産。夫の家が漬物店だったため、発酵について勉強しようと思い立ち、偶然パン教室のポスターを見つけたのです。あっという間に夢中になり、3年間教室に通いました。修了すると、建てたばかりの自宅でパン教室を始めました。この時すでに子どもは3人。三男は生まれたばかりでした。そんな状況だったので、教室も子連れOKにしたら大盛況です。すぐに2校目を開き、パン店も出しました。

20代で3人の息子に恵まれたが…(石川さん提供)

30代の女性に向けて、人生を美しく生きるためのサークル「30’s Party(サーティーズパーティー)」も企画しました。経営者になりたいと強く思うようになったのはこの頃です。パソコンがない時代でしたから、電話講座です。子どもを寝かしつけて夜中の1時から1年間、電話で先生から事業計画の立て方を学びました。先生の顔を知らないまま、1対1でみっちり勉強しました。

事業はいい感じで成長し、どんどん仕事にのめり込んでいったけれど、家庭がうまくいかなくなりました。夫は漬物店を継ぐため、自分を支えてくれる良妻賢母を望んでいたようです。「もう少し家にいて子どもを育ててくれないか」と言われ、いままで回っていたはずの歯車が壊れたのです。事業家として進みたいのに、お母さん、奥さん、おかみさんをやらなきゃいけない重圧。均衡が取れなくなって、心を病んでしまいました。この頃の記憶はほとんどありません。異変に気付いて病院に連れて行ってくれたのは、母でした。

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