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話がしたい! 高齢者と同居ロボ、実験でわかったこと

2019/8/6

同居ロボットは高齢者を見守り、情報を遠方の家族に配信する(7月、川崎市のNEC社内)

会話をできるロボットが数年前から注目を集めていますが、高齢者との同居を支援する自治体も出てきました。生活の見守りや孤立の解消に一定の効果を上げているようです。一人暮らしの高齢者が今後も増え続ける中、同居ロボットの可能性や課題について考えてみました。

人口11万人の約9%が一人暮らしの高齢者という愛媛県西条市。18年夏にロボットを10組に配り、実験を始めました。身長約30センチメートル、赤ん坊のような3頭身ロボットに期待されたのは見守りと会話という2つの機能です。座卓などに置かれたロボットは1日に3度、高齢者の写真を撮影し、遠方に住む家族のスマートフォンなどに送ってくれます。高齢者が天気やニュースを尋ねると、音声で答える機能もついています。

実験で明らかになったのは、高齢者が会話の充実を求めていることでした。ある利用者は「情報を教えてくれたロボットにありがとうを言いたい」と求めてきました。ロボットを開発したNECは「どういたしまして」などと応答する機能を加えました。担当者の松田次博さんは「今後も人工知能(AI)の発達に伴い、会話機能を充実させたい」と話しています。

高齢者は1日平均9回、ロボットと会話しているそうです。実験参加者の好評を得て、西条市は当初予定から3カ月前倒しし、19年1月からロボットの貸し出しを始めました。現在は7人が利用しています。

課題はまず費用面です。利用料の一部は市が補助するものの、ロボットの設置費2万2530円に加えて月額6000円がかかります。遠方に住む家族が費用を負担するケースがほとんどですが、年金暮らしの高齢者が広く利用するには負担軽減が求められそうです。

ロボットはカメラなどで集めた高齢者の情報を、家族のほか、本人や家族の同意を前提に介護担当のケアマネジャーとも共有できる仕組みです。西条市福祉部の松尾光晃課長は「地域の民生委員との共有も見込んでいる」と話しています。

一方、ロボットは生活の機微に触れる情報も取得します。ロボットと高齢者について研究する明治大学の大方潤一郎特任教授は「今後データ利用の量や範囲が広がるとともに、個人情報を保護する仕組みの充実も求められていく」と話しています。

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