自宅以外での活用も期待されています。軽度の認知症を伴う高齢者などに、外出先で目的地や交通手段を教えてくれるロボットです。しかし今の大きさで持ち運びはできません。手のひらサイズで一緒に散歩してくれるようなロボットが、日本から現れてほしいものです。

大方潤一郎・明治大学特任教授「都市全体での見守りが理想」

同居ロボットの可能性や技術の課題について、明治大学経営学部の大方潤一郎特任教授に聞きました。

――同居ロボットにはどんな可能性がありますか。

大方潤一郎・明治大学特任教授

「介護の負担を軽減できる効果が大きい。高齢者と同居する家族がロボットの助けを借りられれば、安心して仕事に行くことができる。切実な社会問題となっている介護離職にも一定の歯止めがかけられるだろう。施設での介護でもロボットが見守りなどを代替できれば、ヘルパーはより質の高い仕事に集中できる」

――高齢者の生活を支えるロボットは、技術的にはどの水準まで来ましたか。

「ロボットは力仕事を代替するタイプと見守りや会話など情報を駆使するタイプの2種類がある。力仕事系のロボットはベッドから高齢者を起こしたり、食事を運んだりすることができるようになってきた。一方、情報系のロボットはペットのように寄り添い、センサーで異常を感知して通報するなど見守りの機能が現在は中心だ」

「見守りは一見、簡単そうだがまだ技術的な課題がある。たとえば高齢者が助けを求める声と、テレビドラマの悲鳴をどう識別するか。脳卒中を検知したくても、高齢者はただ居眠りをしているだけかもしれない。異常でもない情報をいちいち通報してしまえばオオカミ少年のようになってしまい、信頼を得られない」

――ロボットが集める高齢者のデータとプライバシーの問題をどう考えますか。

「まず利用者の同意を得てデータを集めるという大原則がある。データはネットワークにつなぐならば、クラウド上で匿名化しておく必要もある。データを大規模に活用したい企業や自治体のニーズもあるだろうが、家庭内の機微に触れる情報が収集されるとなれば、高齢者も家族も敏感にならざるをえない。さらに情報の活用にミスがあって事故が起きた場合などの責任の所在についても、クルマの自動運転と同様に法整備が求められる」

――今後の同居ロボットにはどんな展望がありますか。

「今は家の中にとどまっている活用範囲を街全体に広げるのが理想だ。現状では元気な軽い認知症の人は、外出を制限し、ゆくゆくは施設に入るしかない。外出を助けるようなロボットやゆるやかな見守りのシステムが、都市に普及する姿を研究している。普及すればロボットが役立つのはもちろん、住民や商店主などがロボットを使っている高齢者のことを理解し、何かあったら手をさしのべる支援が必要になる。なんといっても人間が人間を見守るのが一番なのだから」

(高橋元気)

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