「いい子」の殻破った熊高野球部 花まる学習会代表高浜正伸・花まる学習会代表(上)

中学2年生の1学期に成績が学年4番になると、先生から「1番じゃないとだめじゃないか」と言われる。この感じが本当はすごく嫌でした。表には出せない自分の気持ちを吐き出すため、中1から日記を書き始めたんです。ここにだけは本音を書きました。「生徒会長なんてばかばかしい。学校に用意されたことをやっただけ。俺はこの1年で何も伸びてない」とか。女の子のことばっかり考えているやらしい自分を直視し続けました。この日記が自分を育ててくれたと思います。(感性の)アンテナはしっかり立っていて、「本当におもしろいと思えることをやりたい」という気持ちはこのころから強く持っていました。

息苦しさはありましたが、いい子の級長でいたことで人間力が磨かれた面もありました。田舎の温泉街にある学校ですから、けっこうやんちゃな生徒も多くて、ケンカやもめごとはしょっちゅう。そんなときは「高浜君、止めてくれ」となります。間に入ると自分もボコスコにやられて大変ですけど、最後は信頼されます。激しいケンカでみんな怖がって遠巻きに見ているときなんかは、むしろ自ら飛び込んでいましたね。おかげで社会人になっていろんな人が来ても全然怖くなくなりました。

殻を破り、素っ裸の自分になれた。

中学までずっと先生が望むようないい子ちゃんでいましたが、熊高野球部の先輩たちのおかげで素っ裸の自分になれました。成績は下がるし、女の子を追っかけまわすし……と、だんだん正しい自分になった(笑)。以来、やりたいことをやり続けてきて、そこからはずーっと幸せですよ。もしも「いい子」のままでいたら、心を病んでいたんじゃないでしょうか。

昨今の幸福論、不幸せ論はみんな同じところに行きついていて、結局、自分がやりたいことをちゃんと見つけられないことが不幸せの原因なんだと思います。ランキングとか偏差値とかを見せられて「これより上のところに就職したい」といったことばかりやっている。本当は自分の内側にある魂というか「これがやりたい!」と思えるものをちゃんと見定めるのが何より大事です。僕は高校卒業後、三浪四留して、大学卒業は29歳、大学院を出たときは31歳になっていました。このころ、立花隆さんの「青春漂流」という本を読みました。何者でもない中ぶらりんな状況なのだけど、自分のやりたいことで一生懸命転げまわる20代も悪くないよ、というような内容が書かれていて、元気づけられました。

(下)0点でも「おまえはやれる」 熊高がくれた自信 >>

花まる学習会
1993年設立。埼玉県川口市の2教室、会員25人で始まった。「生きる力」を育む野外体験などユニークな教育が注目を集め、2019年7月現在、12都府県360教室で約2万人が学ぶ。15年からはグループで音楽教室を始めたほか、佐賀県武雄市で官民一体型小学校の運営に携わっている。

(ライター 高橋恵里)

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