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相続税の申告漏れ 税務署はどこを見ているのか 相続税の基礎(4)

2019/8/4

 えっ、それ何?

幸子 税務署が申告内容についての疑問を納税者に発する質問文書のことよ。よくあるのは「小規模宅地の特例」についてね。特例が使えれば自宅敷地の評価額を80%減らせるのだけど、特例の要件を満たさないのに誤って申告するケースがあるの。特に15年に相続増税されてから、都市部の中流層で間違う人が多いみたい。あとは、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を超える部分を申告していない場合も追及されやすいわね。

良男 ぜひ同僚に教えてあげたいな。他にも何か注意点はある?

幸子 税務調査では税務署が申告書や支払調書、金融機関などで独自に調べた情報を基に質問をしてくるので、納税者が忘れてしまっていたり、未確認だったりすることもよくあるの。納税者の陳述が記録されて、不利な証拠になる可能性もあるので、顧問税理士がいるなら立ち会いを依頼したほうがいいわね。顧問がいない場合も、調査の際は税理士に立ち会いを依頼する方が無難だと思うわ。

良男 どうやら僕のアドバイスの出番はなさそうだね。

(おわり)

■国外財産も調査対象に
元仙台国税局長 川田剛さん
最近、相続税の調査では国外財産が対象になるケースも目立ちます。日本の税制では親子ともに海外に10年超住んでいない限り、国外財産にも日本の相続税、贈与税がかかります。ところが親からの相続・贈与で受け取った多額の国外財産があるのに、その分の相続税などを申告しない富裕層が目立ちます。
税務当局は個人の国外財産を監視する仕組みを年々強化しています。例えば毎年12月31日時点で国外に計5000万円超の財産がある人は財産の種類、数量、価額などを申告する必要があります。申告漏れがあると税務調査の対象になる可能性が高いので、早めに修正申告する富裕層も増えてきました。自主的に修正申告すれば延滞税はかかりますが、加算税はとられないので、早めの申告が望ましいでしょう。(聞き手は後藤直久)

[日本経済新聞夕刊2019年7月31日付]

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