堀口珈琲の焙煎所見学会が人気 鮮度と品質にこだわり

日経クロストレンド

堀口珈琲の焙煎所「横浜ロースタリー」
堀口珈琲の焙煎所「横浜ロースタリー」
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コーヒー豆の販売や喫茶店運営を手掛ける堀口珈琲(東京・世田谷)が2019年8月3日から、横浜に開設した焙煎(ばいせん)所「横浜ロースタリー」の一般向け見学会を開始した。目の前が倉庫という立地を生かし、鮮度にこだわった珈琲を提供するのが狙いの施設に、ミュージアム機能を持たせたという。

ロースタリーは生豆貯蔵庫のすぐそば

堀口珈琲が建設した横浜ロースタリーは輸入した生豆の貯蔵を委託している倉庫のすぐそばにある。そのため貯蔵されている生豆を、必要な分量だけすぐ焙煎できるのが大きな利点だ。

輸送コストを大幅に削減できるだけでなく、輸送中の温度変化や雨にぬれてしまうなどのリスクにより生豆の鮮度が落ちるのを防げる。これまで操業していた東京都狛江市の焙煎所より面積が広くなったことを生かし、生豆の選別装置も設置した。

生豆の状態で選別し、焙煎後にも選別することで品質を向上させている

製造の効率化や食品衛生面でも利点がある。狛江は一般客も出入り可能な環境だったため、ドアが開くたびに温度が変化してしまい、それが焙煎に影響を及ぼしていた。

今回のロースタリーは生豆の選別から焙煎、パッケージングまでの工程がスムーズに流れるよう区画化されており、かつ焙煎専用施設になったことで、区画ごとに温度管理を徹底できるようになった。作業員は専用のユニホームを着用し、場所によっては付着した微細なゴミをエアシャワーで落とさないと入れないようになっている。

焙煎機を3台設置可能なスペースがある。温度管理を徹底することで安定した焙煎が可能になった

堀口珈琲執行役員の小野塚裕之氏は「倉庫から生豆をすぐに焙煎所に持ち込めるようにするのが、まずやりたかったこと。温度管理もしっかりできるようになり、品質は確実に向上したと実感している。まだ設備を拡充する余地があり、これからさらに味の向上を目指していく」と話す。

製造工程をブランディングに生かす

横浜ロースタリーは設計に建築家の高塚章夫氏を起用。工場とは思えないほどの洗練された外観の一方、内部は製造工程に合わせた機能的な造りになっている。中央には通路があり、生豆の選別や焙煎されて商品として包装されるまでの各工程を見学できる。2階の会議スペースや廊下からも、焙煎や生豆の選別工程などが見渡せるようになっている。

こうした見学機能を持たせたのは、一般客向けの見学会を開催し、焙煎を理解してもらうためだ。

焙煎後の豆も人間の目で厳しくチェック

「せっかく焙煎所を作るのなら、ただコーヒーを製造するだけではもったいない。金属加工製品で知られる新潟県の燕(つばめ)で工場見学をすると、製造だけでなくその工程をブランディングに生かしていた。我々も同じようにして品質に対するこだわりを知ってもらい、ブランディングに生かしたい。見学して興味を持ってもらうことで、働き手の確保にもつながるのではないか」(小野塚氏)

見学会は人気を集めており、8月分はすでに満席だ。安定した味と品質を実現し、さらにブランディングにも生かしたいという堀口珈琲の新たな取り組み。スタートは順調なようだ。

中央の廊下から、焙煎の工程を見学できるようになっている
焙煎機や豆を選別している様子などを間近で見られる

(ライター 湯浅英夫)

[日経クロストレンド 2019年7月6日の記事を再構成]