低金利時代の味方?「日経高配当株50」利回りに注目株式投資の超キホン 日経平均を知ろう!(12)

米中貿易摩擦に端を発し、世界の景気の雲行きが怪しくなっています。米国では10年半ぶりに利下げし、新興国でも政策金利を引き下げる動きが出始めています。こうした環境のもと、多くの株式投資家が改めて注目しているのが「配当利回り」です。

高配当切り口に銘柄選出

配当利回りをざっくり言うなら様々な銘柄があるなかで、株式投資の「お得」な割合を示す指標、となるでしょう。多くの上場企業はもうけを一定の割合で配当として分けています。その分け前が株の値段(株価)に対し、どのくらいの割合なのか、を示しているのが配当利回りです。1株あたりの配当金を株価で割って計算します。

例えばA社の株価は1000円で配当が50円、B社は2000円で配当が80円だったとします。見た目の配当金はB社が30円高いですが、両社を配当利回りで比べるとどうでしょう。A社は5%、B社は4%となり、投資効率が良いのはA社だ、ということになります。

日本では今、銀行にお金を預けてもほとんど金利が付きません。そう考えると、先ほどのA社もB社も配当利回りが預金金利より高いので、魅力的だと言えます。日経平均株価の仲間には、こうした高い配当利回りの銘柄を集めた株価指数があります。それが「日経平均高配当株50指数」です。日本経済新聞社が2017年1月から算出・公表を始めました。

基本コンセプトは「日経平均の構成銘柄のなかから、高い配当利回りの銘柄を50選ぶ」という点にあります。日経平均は日本を代表する225銘柄で構成し、市場流動性や業種のバランスに配慮して選ばれています。

50銘柄は日経記者の予想に基づく配当値をもとに選んでいます。毎年5月の最終営業日を基準日として、この時点で日経平均の構成銘柄で「予想配当利回りランキング」を作成し、高い順位から選んでいきます。なお日経平均銘柄の最新の予想配当利回りは原則、火曜日から土曜日の日本経済新聞朝刊証券1面にある「クローズアップ日経平均株価」に載っています。

6月末に定期入れ替え

日経高配当株50の主な銘柄を見ると、メガバンクをはじめとする銀行株、住友商事のような商社株、大和証券グループ本社といった証券株などが目を引きます。6月末に定期入れ替えをしていますが、今年は新たにJFEホールディングスや出光興産など8銘柄が加わりました。日経の指数公式サイト「日経平均プロフィル」内にある「日経平均高配当株50指数」の関連データで構成銘柄の一覧を確認できます。

配当利回りの計算は分数で言えば分子が1株あたりの配当金、分母が株価です。配当金が横ばいでも株価が上昇していると利回りは低下しますよね。反対に株価が下がっても配当金が変わらなければ利回りは上がります。例えば不祥事が発覚した企業の株価は急落することがあります。こうした銘柄は利回りが高いからといっても日経高配当株50に取り込みません。

定期見直しでは基準日時点で、直近の決算を発表していなければ除外します。「3期連続で最終赤字」や「期末の予想が無配」となっている銘柄も採用の対象外になります。このほか臨時で構成銘柄を見直す場合があります。例えば業績が急に悪化して無配に転落する、といった場合は外すことになります。

株主還元姿勢強まる

日経高配当株50を1つの銘柄とみなして予想配当利回りを見ると7月30日時点で4.69%です。日経平均を1つの銘柄と見た場合の予想配当利回りが2%台ですので、大きく上回っています。いずれも配当利回りは上昇基調ですが、日経高配当株50は2017年の算出開始以降、日経平均よりも常に高く、19年に入ってからはその差を2倍強に広げています。

日本株の予想配当利回りが上昇基調にある大きな一因は、取り巻く環境の変化です。機関投資家は自らの行動指針(スチュワードシップ・コード)を開示するようになっていますし、企業側は統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を打ち出しています。株主への還元が上場企業の大きなテーマとなり、いたずらに稼ぎを内部にため込まず、配当を増やしたり自社株買いをしたりするようになっているのです。

機関投資家の行動指針が企業の株主還元を後押しした(年金積立金管理運用独立行政法人の対応状況に関する資料)

投資家のなかには業績が安定的に成長するなかで、株価が割安という銘柄を探す人は少なくないでしょう。「割安株」「バリュー株」などと言われます。株主への還元策が注目されるようになっている昨今、上場企業はいったん決めた配当の水準を少なくとも維持しようと努めます。配当利回りは1株あたりの配当金を株価で割って算出する、という点を踏まえると、日経高配当株50は割安株の動向を示している、ということもできますね。

以前、このコラムの第9回で日経平均の仲間として「日経平均・配当指数」を紹介しました。「日経平均を1つの銘柄とみなし、1月から12月まで持ち続けた時に受け取る配当金」を表す指数でしたね。2018年は6年連続で過去最高となっています。こうした指数からも企業の株主還元の姿勢が年々強まっていることが分かります。

日経平均プロフィル」では日経高配当株50の最新情報や指数の推移を示すグラフなどを確認できます。ぜひチェックしてみてください。

(インデックス事業室 遠藤繁)