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霊峰へ、ご来光の旅 ナショジオ写真家がみた富士登山

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/8/11

ナショナルジオグラフィック日本版

毎年夏になると数十万人が富士山に登る(PHOTOGRAPH BY DAVID GUTTENFELDER, NATIONAL GEOGRAPHIC)

今日は山の日。多くの名山を抱える日本だが、単なる登山を超えるのが富士登山だろう。富士山がもつ魅力は、外国の人々には、どう映ったのか? 世界報道写真コンテスト入賞経験があり、ナショジオ誌でも活躍するデビッド・グッテンフェルダー氏の写真とともに、ご覧いただこう。

◇  ◇  ◇

毎年7月から9月、富士山を訪れる登山客は数十万人を数える。彼らは、息を切らしながら重い足取りで夜明け前の富士山を登ってゆく。山頂は敬虔(けいけん)な沈黙に包まれ、遠い大地は雲のはるか下だ。やがて夜明けが訪れ、透明な光が山頂を金色に染め上げる。それを彼らは特別な言葉で呼ぶ。「ご来光」だ。

標高3776メートルの富士山は、日本で最も高い山である。特徴的な美しい円錐形の山体は複数回の大噴火によって形成された。かつて神々がすむとされていたこの山は、今でも登山道のあちこちに神社があり、聖と俗の境界を示す鳥居が立っている。現代人はレジャーとして富士山に登ることが多いが、山のそこかしこに神聖な気配が漂っている。

色鮮やかなウェアで山頂を目指す登山者たち。鳥居は聖と俗の境界だ(PHOTOGRAPH BY DAVID GUTTENFELDER, NATIONAL GEOGRAPHIC)

2018年に富士山に登った写真家のデビッド・グッテンフェルダー氏は、「富士山は歴史的に霊山として信仰の対象となってきた山で、今日でも日本の社会や文化に深く根付いています」と説明する。「晴れた日には東京からも富士山を見ることができます」

進むべき道を示す吉田ルートの矢印(PHOTOGRAPH BY DAVID GUTTENFELDER, NATIONAL GEOGRAPHIC)

かつての富士山は孤独な求道者たちの修行の場だったが、現代人にとっての富士登山は、経験を共有し、連帯感を強めるための儀式のようなものになっている。人々は富士山に登ることで共通の遺産に敬意を表し、それを守ろうとしているかのようだ。

見渡すかぎりの雲海。山腹の山小屋からの風景(PHOTOGRAPH BY DAVID GUTTENFELDER, NATIONAL GEOGRAPHIC)

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