木目の内装にこだわり 居心地の良いキャンピングカー
7月20、21日に東京ビッグサイト 青海展示棟Aホール(東京・江東)で「東京キャンピングカーショー2019」が開催され、58社が187台の車両を展示した。日本RV協会によると、国内のキャンピングカー保有台数は2005年から右肩上がりで、18年には11万台を突破した。中古車も含む販売総額は年々増加傾向にあり、18年は約458億円と過去最高となった。
今年のショーでは多様化するニーズに応じた作り分けが目立った。インテリアにウッドを多用し、従来のキャンピングカーとは異なる「居心地の良さ」を体現したモデルなど、じつにバリエーションに富んでいた。
そんなキャンピングカーのトレンドをふまえ、ショーに展示された注目の車両を何台か紹介しよう(価格はすべて税込み)。
N-VANをベースにした軽キャンピングカー
軽自動車をベースにしたいわゆる「軽キャンピングカー」は近年、着実にシェアを拡大しているカテゴリーのひとつだ。車両価格や維持費が安価なほか、車体がコンパクトなため、乗用車として普段使いしやすいなどのメリットがある。生産台数は年々増加しており、18年は1255台を販売。キャンピングカー全体の年間生産台数がおよそ5500台ということを考えるとなかなかの比率だ。
冒頭の写真はホワイトハウス(愛知県東郷町)の「N-VANコンポ・ポップキャビン」というモデル。支柱を廃し、助手席側に大きな開口部を設けたホンダの商用車、N-VANにポップアップルーフ、ベッド、サブバッテリーなどを搭載。ノーマル然としたルックスながら大人2人が快適に車中泊できる空間を確保している。なお暖房はエンジンを停止した状態で使用できるエアヒーターを採用する。
出展車はターボ車をベースにフロント回転シートや電子レンジ、冷蔵庫、サイドオーニング(収納型の日よけテント)などオプションを満載した豪華仕様で、価格は454万4000円。
車載用蓄電システムを搭載、家庭用エアコンも利用可能
近年のキャンピングカーはソーラーパネルやリチウムイオンバッテリーといった高効率な電源システムを備えることで消費電力の大きい家電製品も使用できるようになっている。
キャンパー鹿児島(鹿児島市)の「rem FOREST」は大容量かつ長寿命な車載用リチウム蓄電システムを搭載し、家庭用エアコン(標準装備)を連続13時間稼働することができるモデル。
ハイエースのスーパーハイルーフをベースにしているため、ワンボックスカーの車内を架装したタイプの「バンコンバージョン」ながら車内を立って移動可能なゆったりとした空間を実現。インテリアは外部のデザイナーが手掛けたもので、落ち着いた意匠が特徴だ。出展車の価格は918万円。
常設二段ベッドを備えた本格派
ダイレクトカーズ(津市)の「モビリティホーム」も大容量リチウムイオンバッテリーと家庭用エアコンを標準装備する一台だ。ただしこちらはハイエースのボディーをカットして居住空間を拡大したもの。トラックの荷台やワンボックスカーのキャビンに専用の居室を架装した「キャブコン」と呼ばれるタイプのキャンピングカーだ。
シンクやマルチルーム(シャワールームやトイレなどとして使える仕切りスペース)、常設2段ベッドなどを備えた本格的なもので、インテリアは木材とレザーを使ったログハウス調。価格は848万円~。
「バンライフ」をテーマにした車両
最近のキャンピングカーショーで目立つのが「バンライフ」をテーマにした車両。バンライフというのはすなわち内装をカスタムした車(バン)に生活道具を積み込んで、夫婦や恋人同士で自由に放浪しながら暮らすライフスタイルのことを指す。欧米を中心に人気となっていて、日本でも広がりを見せている。
ノニデル(愛知県岡崎市)の「ベースキャンプ・ソロ」もそうした潮流を感じさせる一台。一般的なキャンピングカーと比べると快適装備は必要最低限だが、インテリアに木材を多く使い、ぬくもりある雰囲気を演出。大人2人がゆっくりくつろげるよう仕立てられている。FFヒーター(エンジンを動かさずに車内の温度を快適に保てる燃焼式ヒーター)や冷蔵庫、テレビ、サブバッテリーなどのオプションパーツが多数装備された出展車の価格は386万970円。
けん引免許は不要のキャンピングトレーラー
ショーではキャンピングトレーラーも多く出展されていた。日本ではまだなじみの薄いキャンピングトレーラーだが、駐車場さえ確保できれば多くのメリットがあるため一定のファンがいる。キャンピングカーよりも車体価格や維持費が安価で、広々とした居住空間が得られる。
また重量750kg以下のトレーラーならばけん引免許も不要で、宿泊地に着いたらトレーラーだけを切り離し、身軽に動けるのも魅力だ。ただし、法律上、走行中はトレーラー内に人を乗せることはできない。
ケイワークス(愛知県豊橋市)の「トレイルワークス520」の展示車は装備を簡略化し、けん引免許のいらない重量に抑えたコンパクトサイズの国産トレーラー。サブバッテリーや外部電源による電源システムやエアコンなどを標準で備え、内装はオーダーに応じて様々なカスタマイズが可能だという。ガスコンロは輸入トレーラーでは一般的なLPガスではなく、入手しやすいカセットガスを採用している。価格は298万円~。
(ライター 佐藤旅宇)
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