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本当はおいしい英国料理 パリで修業した料理人も認定

「フィッシュ&チップス(Lサイズ)」(1300円・税込み)

帰国後東京の英国パブで働いたり、ウイスキーやビールのイベントに行ったりして内外の英国ネットワークを広げていった。スコットランドも訪れたが、「パブでバグパイプを演奏すると、みんなビールをおごってくれるんですよ。めちゃくちゃ僕に優しい国」とほおを緩める。

「素朴だけど料理もおいしいですよね。スコットランドは漁業が有名だから、特に沿岸部で食べるフィッシュ&チップス(タラをはじめとする白身魚のフライとフライドポテトの盛り合わせ)は魚が新鮮。身がほっくりしていて余計な脂がない。魚は30センチぐらいあって無駄に大きい。あれもいいんです」(小貫さん)

「ハギス(Lサイズ)」(1100円・税込み)。10年物のラフロイグ(少量)を添えて提供。同店では羊のレバー、心臓、タンを下ゆでしてミンチにしたものに、香味野菜を合わせ蒸している 味付けは塩コショウのみ

スコットランドのパブ料理としては、羊の臓物を使った「ハギス」が有名だが、一番おいしかったのはフランス料理風におしゃれに盛り付けた今風のものではなく、「スプーンで雑に盛ったようなひと皿」と小貫さん。

同料理は「ザ・ロイヤルスコッツマン」でも人気だが、同店では、なんと通好みのスコッチウイスキー、ラフロイグの10年物を添える。これを料理にかけて食べるのだ。「もともとは臓物のにおいを消すためにウイスキーをかけたといい、現地のパブでもウイスキーが添えられています。料理にクセがあるから、ウイスキーもクセがある方がいいと思ってラフロイグを合わせたんです」(小貫さん)

「サンデー・ロースト」。右奥はヨークシャープディング。料理の価格はその日に使用する肉の部位で変わる

一方、同店で「これを楽しみに来られるお客様もいる」と言うのは、日曜限定メニューの「サンデー・ロースト」。英国でも日曜日にパブなどで提供される料理で、ローストした肉やジャガイモなどの野菜、ヨークシャープディング(厚手のシュークリームの皮に似る)などを盛り合わせたメニューだ。今は鶏や豚、羊を使うこともあるが、伝統的にはローストビーフが定番のメイン食材。日曜礼拝の後の1週間で最も贅沢な食卓で、家族みんなでこの料理を楽しんだというわけだ。

「お客様が現地を思い出し、また英国に行きたいと思ってくれたらいい」と、小貫さんはモダンな英国料理にも関心があると言いつつも、現地のどのパブにもあるような料理の提供を心がける。そもそも「パブ」は「パブリックハウス」の略で、公共の家の意味。地域の社交場だった。神楽坂の「ザ・ロイヤルスコッツマン」も英国流の社交場として、客を楽しませる場であり続けるに違いない。

(フリーライター メレンダ千春)


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