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本当はおいしい英国料理 パリで修業した料理人も認定

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欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡り、英国についての報道を目にしない日がなくなっている。1993年にEU加盟国の「単一市場」が始動し、域内で物資や人が自由に移動できるようになる中、金融、商業の世界的な中心地である首都ロンドンを抱える英国は国外からの労働力や豊かな食材の流入で、食のレベルが大きく上がった。「料理がまずい国」というレッテルを貼られ続けた国にも、内外から注目を集めるスターシェフが誕生。国際的なレストランランキングで、英国の店を見るのが「当然」になった。

「特にパブ料理は、この十数年の間にものすごくレベルが上がりましたね」と言うのは英国パブ「FULL MONTY(フルモンティー)」(横浜市)を夫婦で営む英国人のクライブ・プールさん。英国はラーメン1杯2000円というのが珍しくないほど、外食代が高い。そうした中、リーズナブルな値段で料理を食べられる場所が英国流の酒場であるパブなのだ。かつてのパブ料理は、限られた時間帯にだけ出され選択肢も限られていたそうだが、今は重要な収入源となり、味もすばらしい店があるという。

パブで楽しみたいのは生粋の英国料理。幼少時代を英国で過ごした私は、「まずい」と言われていた頃から、「英国にだって、ほかでは食べられないおいしい料理がある」と思っていた。そして今、日本でもおいしい英国パブ料理が食べられる店が登場しているのだ。

2011年に開店した東京・神楽坂の英国パブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」の店主、小貫友寛さんの名刺には、なぜか「バグパイパー」の肩書がある。実は今の店を開くきっかけは、スコットランドで親しまれる吹奏楽器バグパイプだったのだ。

小貫さんは小さい頃からコックになる夢を抱き、高校時代テレビで見た「オテル・ドゥ・ミクニ」の三国清三シェフの型破りな姿に憧れ、すぐに同店で皿洗いのアルバイトを始めたという行動派。20代で、パリのビストロで料理を学びたいとフランスに飛んだ。ちょうど、気軽な雰囲気の店ながら、シェフが創意に富んだ料理を出す「ネオビストロ」が現地ではやり始めた頃。ネオビストロの旗手であったシェフが営む「ラ・レガラード」や「ル・ルペール・ドゥ・カルトゥッシュ」で働く機会を得た。

ところがある日、小貫さんの人生を大きく変える出合いが訪れる。「ル・ルペール・ドゥ・カルトゥッシュ」のシェフの故郷であるフランス北西部ノルマンディーを訪れた際、バグパイプ楽団の演奏を聞いたのだ。たまたま第2次世界大戦で連合軍がノルマンディー上陸を決行した「Dデイ」記念日にあたり、式典が開かれていたのだという。

「戦没者墓地が広がる中、何十人もが演奏するバグパイプの音色にものすごく感動して。『この楽器は絶対習得しなくては』と思った」と小貫さん。早速、楽団のリーダーらしき人物にパリの教室の連絡先を聞き、店の定休日に通うようになる。そして、1カ月もたつと料理よりバグパイプへの興味が強くなってきたという。「バグパイプを習得したいから、店を辞めたい」――楽器への思いが強まるばかりだった小貫さんは、とうとうシェフにそう申し出る。

「『ゴー・エ・ミヨ』(フランスのレストランガイド)で店の評価が上がり、僕が手がけた料理の写真が掲載された頃のことでした。シェフには『おまえバカか』と1カ月じっくり考えろと言われたけれど、思いは変わらなかった。どうしてもバグパイプだなって」と小貫さんは笑う。

楽器を習い始めて知った、新しい飲食の世界も魅力的だった。レッスンが終わるとみんなでスコットランド人が経営するパリのパブに繰り出したのだ。「それまで勤めていたレストランやビストロと違い、店の人とお客はとことんフラットな関係で、横にいる人が『お前どこから来たんだ』などと話しかけてくる。初めて味わった空気感で、なんだこれ、すごく楽しいなと思ったんです」(小貫さん)。滞在ビザの期限も迫る中、「帰国し、パブを開いてバグパイプを演奏する生活ができればそれでいい」と小貫さんは進路を決めた。

帰国後東京の英国パブで働いたり、ウイスキーやビールのイベントに行ったりして内外の英国ネットワークを広げていった。スコットランドも訪れたが、「パブでバグパイプを演奏すると、みんなビールをおごってくれるんですよ。めちゃくちゃ僕に優しい国」とほおを緩める。

「素朴だけど料理もおいしいですよね。スコットランドは漁業が有名だから、特に沿岸部で食べるフィッシュ&チップス(タラをはじめとする白身魚のフライとフライドポテトの盛り合わせ)は魚が新鮮。身がほっくりしていて余計な脂がない。魚は30センチぐらいあって無駄に大きい。あれもいいんです」(小貫さん)

スコットランドのパブ料理としては、羊の臓物を使った「ハギス」が有名だが、一番おいしかったのはフランス料理風におしゃれに盛り付けた今風のものではなく、「スプーンで雑に盛ったようなひと皿」と小貫さん。

同料理は「ザ・ロイヤルスコッツマン」でも人気だが、同店では、なんと通好みのスコッチウイスキー、ラフロイグの10年物を添える。これを料理にかけて食べるのだ。「もともとは臓物のにおいを消すためにウイスキーをかけたといい、現地のパブでもウイスキーが添えられています。料理にクセがあるから、ウイスキーもクセがある方がいいと思ってラフロイグを合わせたんです」(小貫さん)

一方、同店で「これを楽しみに来られるお客様もいる」と言うのは、日曜限定メニューの「サンデー・ロースト」。英国でも日曜日にパブなどで提供される料理で、ローストした肉やジャガイモなどの野菜、ヨークシャープディング(厚手のシュークリームの皮に似る)などを盛り合わせたメニューだ。今は鶏や豚、羊を使うこともあるが、伝統的にはローストビーフが定番のメイン食材。日曜礼拝の後の1週間で最も贅沢な食卓で、家族みんなでこの料理を楽しんだというわけだ。

「お客様が現地を思い出し、また英国に行きたいと思ってくれたらいい」と、小貫さんはモダンな英国料理にも関心があると言いつつも、現地のどのパブにもあるような料理の提供を心がける。そもそも「パブ」は「パブリックハウス」の略で、公共の家の意味。地域の社交場だった。神楽坂の「ザ・ロイヤルスコッツマン」も英国流の社交場として、客を楽しませる場であり続けるに違いない。

(フリーライター メレンダ千春)

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