夫が借金、妻は「偽装離婚」で返済逃れ 許される?弁護士 志賀剛一

それだけでとどまりません。財産を債権者ではなく元妻に財産分与として与えることは、財産の隠匿行為とみなされ、免責が不許可になる場合があります。

破産手続きが終了しただけでは、債務者は債務を免れることはできず、破産手続きとは別に債務の支払義務を免除する「免責決定」を受ける必要があります。しかし、破産法では債権者を害する目的で債権者に配当すべき財産を隠匿する行為は免責不許可の一事由となっているのです。財産を妻名義に移転し、自分は自己破産して債務を免れるつもりが、移転した財産は債権者への配当原資となるだけでなく、免責も受けられないとなると踏んだり蹴ったりです。

さらに、悪質な場合は「詐欺破産罪」に問われることもありえます。その場合、1か月以上10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に問われます。偽装離婚→財産移転→自己破産は非常にリスクの高い行為だと理解してください。

保育園に入るための偽装離婚も

ところで、最近では生活保護や児童扶養手当の不正受給を目的にした偽装離婚も増えていると聞きます。しかし、行政も取り締まりの目を光らせていますし、発覚すれば返還請求だけで済まず、詐欺罪などに問われる可能性もあります。

さらには、保育園に入りやすくするために偽装離婚する人もいるそうです。待機児童問題がそこまで深刻であることに驚きを禁じえませんが、発覚すれば入園が取り消され、退園となるのは確実でしょう。

子どもはせっかく仲良くなった友達を失うことになります。また、偽装が発覚する端緒はママ友を含む近隣住民の通報、つまりタレコミが多いそうです。そうなると、人間関係は崩壊し、その地域に住めなくなるのではないでしょうか。これもお勧めすることはできません。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。
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