最後のパジェロ 37年の集大成、マニア泣かせる走り

2019/8/18

対するパジェロには、じつはひとつの神器もない。3代目以降のパジェロは、車体はモノコック(正確には下まわりにフレーム構造を溶接したビルトインフレーム型)だし、サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーンでリアがマルチリンクの四輪独立懸架、駆動システムは2WDモードやロックモードはあるものの基本はセンターデフ付きフルタイム4WD、ステアリングはラック&ピニオンである。設計年次こそ前記のとおり20年選手でも、各メカニズムの基本構造はすべて最新のそれとなんら変わりないのだ。

ちなみに、今回のファイナルエディションには3列7人乗りしか選択肢はないが、そのサードシートが床下にきれいに収納できるのもモノコック車体のおかげである。

ファイナルエディションならではの魅力

パジェロは今でこそ歴史の生き証人みたいな存在だが、全盛期は常に新しかった。そもそも1982年の初代パジェロからして、それまでの悪路作業車(=三菱ジープ)とは一線も二線も画した新ジャンルの乗りもの(今でいうSUV)として生み出されたのだ。

今回のお別れ試乗では約510kmを走行し、満タン法で7.8km/リッターの燃費を記録した。JC08モードの燃費値は10.0km/リッターで、燃料タンクの容量は88リッター

パジェロは初代からフロント独立サスペンションや前輪を前方に押し出したフロントミドシップレイアウトなどを売りにしており、続く1991年の2代目では4WDがフルタイム式となり、1999年の3代目ではラダーフレームとリアリジッドサスペンション、そしてボールナット式ステアリングをいち早く捨て去った。パジェロがATを5段化したのは2代目途中の1997年のことだが、当時のSUVで5段ATなど、他例はメルセデスくらいしかない先進のぜいたく品だった。

そういわれてみると、2.3t超というヘビーウェイトながら、細かい山坂道でもさほど持てあますことがないのは、初代からの売りであるフロントミドシップも奏功しているかもしれない。実際、車検証によるファイナルエディションの前後重量配分は51:49ととてもバランスがいい(ちなみにサイズやレイアウト、車重も酷似した「ランドクルーザープラド」のディーゼル車のそれは54:46)。

もっとも、パジェロの優れた操縦性には駆動システム「スーパーセレクト4WD-II」の恩恵もあるだろう。オンロードでもっとも軽快で静かなのは2WD(2H)モードだが、フルタイム4WD(4H)モードだとさらに安心感が増して曲がりやすくなるのは33:67という後輪優勢のトルク配分も絶妙に効いているように思われる。

これ以前に私がパジェロに乗ったのは2014年のマイチェン直後のスーパーエクシードだったはずだが、当時より高速などでのピッチングめいた上下動が減って、直進性もピタリと安定して、乗り心地がより熟したように感じられたのはファイナルエディションが17インチタイヤのエクシードベースだったおかげもありそうだ。ファイナルエディションの仕立てが、そんなことまで考えぬいた設定だとしたら(ただのコストが理由の可能性もあるけど)、最後までマニアを感涙させてくれるファイナルエディションである。

それでは、さようならパジェロ。ありがとう。

(ライター 佐野弘宗)

■テスト車のデータ
三菱パジェロ ファイナルエディション(4WD/5AT)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4900×1875×1900mm
ホイールベース:2780mm
車重:2340kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:5段AT
最高出力:190ps(140kW)/3500rpm
最大トルク:441Nm(45.0kgm)/2000rpm
タイヤ:(前)265/65R17 112S M+S/(後)265/65R17 112S M+S(ダンロップ・グラントレックAT20)
燃費:10.0km/リッター(JC08モード)
価格:453万0600円/テスト車=504万4591円
オプション装備:ボディーカラー<ウオームホワイトパール>(3万2400円)/7インチWVGAディスプレイメモリーナビゲーション(24万3000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<デラックス>(5万0025円)/ETC車載器(2万7885円)/ファイナルエディションアクセサリーパッケージ<リアデフレクター+メッキスペアタイヤカバー+アルミマッドフラップ>(12万2752円)/ドライブレコーダー(3万7929円)

[webCG 2019年7月26日の記事を再構成]