木村カエラ ライブも日常も足元支えるリーボック
ウエディングソングの定番人気曲「Butterfly」や、ポップで心弾む「リルラ リルハ」などのヒット曲で知られる木村カエラさん。キュートなルックスとマッチした、スタイリッシュで個性的なファッションに憧れる女性も多い。18年4月に絵・文を手掛けた初の絵本「ねむとココロ」を出版するなど、活躍の場を広げている。
明るく前向きなメッセージを歌い続けてきたカエラさんがメジャーデビュー15周年を迎え、最新アルバム「いちご」を完成させた。前に進み続ける姿勢を示したいと、収録曲は全て新曲にこだわった。そんな精力的に活動する彼女を「足元」からずっと支えてきたのが、リーボックのスニーカー・フリースタイルだという。
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リーボックのフリースタイル(ハイ)を履き始めたのは高校生くらいから、本当に長い付き合いです。母が最初に履いていて、私も母に似て足の幅が細く薄くフィットする靴が少ないので勧められたのがきっかけです。履いたとたん、すごくぴったりきてうれしくなりました。あれから一体、何足履きつぶしては買い替えたかわかりません。
今回のお話をいただいたとき、「こだわりのモノ」はこの靴しか思い浮かびませんでした。日常はもちろん、コンサートでも基本的にこの靴か、もしくはコンバースのオールスター・ハイカットのどちらかを衣装との相性で選びます。いろんな服に合わせられるよう赤や青など、色違いもそろえています。
私はライブ中にとにかくよく動くんです(笑)。だから、軽くて疲れない靴が必須条件。この靴はなじんでいるし、履くだけでほっと安心できる。歌がうまく歌えるような気持ちにしてくれる、おまじないのような不思議なパワーも持っているんです。
ハイカットで足首も安定するので、くじきにくいのも気に入っています。ライブ中はアドレナリンが出ているから足をくじいても気づかないことも多くて(笑)。足をけり上げてアンプにぶつけて青あざを作ったり、ある時はマイクに思いっきり前歯をぶつけて思わず「痛い!」って叫んだりしたこともありました。とにかく、音と一体になって気持ちが高揚しているときはヤバい(笑)。そんなときも、この靴が私の足をちゃんと守ってくれるんです。
今注目している「モノ」はランニングマシンです。10月からアルバム「いちご」を携えた全国ツアーがはじまるので、体力づくりをしたくて。けど、恥ずかしいからわざわざジムには行きたくない(笑)。家にランニングマシンがあれば、掃除とか料理の合間に走れそうだし、家で全部事足りるのがいいなって。
刺激もらったあいみょんの言葉
アルバム「いちご」のレコーディングでも、このフリースタイルを履きました。15周年の節目だからベスト盤やセルフカバーという案も出ましたが、新しい自分を見てもらいたくて全新曲のアルバムにこだわりました。
というのも、10周年が私の大きな目標だったんです。そこへ向かってがむしゃらに突っ走ってきましたが、「さて、次はどうしよう」と考えたとき、一人で進める強さを身に付けたいと思いました。この5年は、新しいことしかしない「修業」期間だと位置づけて、自分をピンチに追い込んできました。楽曲やライブの作り方、やり方もこれまでの方程式は全て取っ払ったし、知らない人ばかりのバンドにぽんと放り込まれても即興で歌えるような対応力も少しずつ身に付けました。
「いちご」は、それら修行の集大成のようなイメージ。明るく元気に歌うだけじゃなく、囁(ささや)くような歌声や優しく伸びやかなボーカルなどいろんな歌唱に挑戦できたのも修行の成果だと思っています。
1曲目「Continue」をあいみょんちゃんに作ってもらったことも、新しい取り組みです。キャリアを重ね、新しいアーティストさんが出てくるたびに「私ももっと頑張らなきゃ」と思っていました。それは原動力でもあったけど、どこか気を張っている部分にもなっていて……。でも、この5年で気づいたんですよね。「ここまで続けてこられたのだから、変なプライドはいらないな。リスペクトする人たちと、もっと自由にやればいいんだ」って。
あいみょんちゃんは、出てきた時から注目していて「一緒にやりたい」と思っていたけれど、ここに来てやっと頼むことができました。彼女もまた、ソロの女性アーティストに楽曲を提供したことがなかったそうですが、以前から私の曲を好きで聴いてくれていたそうで快諾してくれました。
打ち合わせで自分が書きたいけど書けないような内容の歌詞を書いてほしいとお願いをして書いてもらいました。デビューしたばかりの20代は好き放題書いていたけど、大人になるにつれファンを裏切りたくない、人を傷つけたくないと、いつの間にか言葉を選ぶようになっていたんですよね。その壁を壊すのも目的だったから、あいみょんちゃんにお願いしてよかったです。
コラボレーションはある意味、闘いでもあるから、それがいいほうに向かったときはすごく力強いパワーが生まれます。新しいものに触れつつ、自分を再確認できた良い体験でしたね。尊敬する先輩であるCharaさんともまたご一緒できました。今の自分だから自分より若い世代とも、先輩方とも違和感なく音楽を鳴らせるのかなと思うんです。
「誰かのため」よりまず「自分のため」
音楽を取り巻く環境がどんどん目まぐるしく変わっている中で、「こうじゃなきゃいけない」って頭を固めてしまうと、ついていけなくなると思うんです。私は歌が命で、ネガティブな感情も歌詞に書き、歌として吐き出すことで自分を保っていられます。歌いたいからこそ、どんどん変わっていくというか……それが私には必要なのかなと。絵本を描いたのもその表れの一つです。
だからといって、やりたくないことはやらないという勇気も持ちたいですね。大人になり責任感が増すと、「誰かのために」と思ってやることもあります。それを、今一度シンプルに「自分のために、やりたいことをやる」。そうやって作ったものが結果として、たくさんの人にも届くんじゃないかなって思うんです。
2004年6月にシングル「Level 42」でメジャーデビュー。13年、自身が代表を務めるプライベートレーベルELAを設立。14年、メジャーデビュー10周年を迎え、ベストアルバム「10years」、8枚目となるオリジナルアルバム「MIETA」をリリース。同年10月、横浜アリーナ2days公演を成功させた。18年4月初の絵本「ねむとココロ」を出版。19年6月23日にデビュー15周年を迎え、日比谷野外大音楽堂でアニバーサリー公演を開催した。10月から木村カエラLIVE 2019全国「いちご狩り」ツアーで全国8都市でライブを開催する。
「いちご」
2年9カ月ぶりとなるオリジナルアルバム。「セレンディピティ」(ダイハツ キャスト「My Favorite」編CMソング)、「BREAKER」(映画「ペット2」イメージソング)などを含む全11曲。タイトル曲「いちご」は、自らが作詞作曲を手掛けた優しいスローナンバー。
(文 橘川有子、写真 藤本和史)
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