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障害の有無は、以下のように定義しました。

・秒速1m以上の速度で20mの歩行が可能な場合:歩行障害なし
・基本的な日常生活動作(寝返り、起き上がり、立つ、座るなどの起居動作、室内での歩行、着替え、入浴、食事、排せつなど)を1人で行えると自己申告した場合:日常生活動作(ADL)に障害なし

「中~高強度運動を週約1時間」で歩行障害が減少

4年以上にわたって追跡でき、障害発生の有無を知ることができたのは1564人でした。うち56%が女性で、38%がBMI(体格指数)30以上の肥満でした。膝関節に症状がある人が最も多く、続いて股関節症状が多く見られましたが、対象者の半数以上が両方の症状を持っていました。4年の追跡期間中に歩行障害が生じた患者は147人、ADLに障害が生じた患者は238人いました。

1564人の1週間あたりの中~高強度運動の実施時間は81分(中央値、以下同じ)で、低強度運動の時間は1949分、低強度以上の運動時間を合わせると2081分になりました。座位時間は4131分でした。

運動による障害予防効果を検討したところ、中~高強度運動を週に56分以上行うと、「歩行障害がない状態の持続」に有効で、週に55分以上行うと、「ADL障害のない状態の持続」に有効であることが明らかになりました。

具体的には、中~高強度運動時間が週に56分未満だった人では、24%が歩行障害を負っていましたが、56分以上だった人ではその割合は3%と少なく、リスクは86%減少していました。同様に、ADL障害では、運動時間が週に55分未満だった人では23%が障害を負っていましたが、55分以上だった人ではその割合は12%で、リスクは45%減少していました。

1週間に56分、55分という運動時間の目安は、患者の年齢、性別、BMI、変形性膝関節症の存在にかかわらず当てはまりました。

著者らは、患者にわかりやすいよう、「週に60分以上を目標に中~高強度の運動を行えば、変形性関節症のある患者の将来の障害リスクの低減が期待できる」としています。

論文は、American Journal of Preventive Medicine誌2019年5月号に掲載されています[注2]

[注2]Dunlop DD, et al. Am J Prev Med. 2019 May;56(5):664-672.

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2019年7月16日付記事を再構成]

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