ウチのマンション修繕できる? 積立金が不足する理由市況・徴収方法に問題

修繕積立金の集め方にも問題があるとされる。積立額を当初低めに設定し、数年後から増やしていく「段階増額式」を採る物件が最近目立つ。以前は金額を一定とする均等式が主流だったが、マンション価格の上昇を受けて不動産会社などが、買い手の当初の負担感を和らげようと段階式を用いる例が増加。国交省調査によると10年以降に完成した物件の68%が同方式だ。

途中で積立額を増やすには事前に予定があってもその都度、所有者による決議が必要になるのが原則だ。冒頭の例のように決議は難航することが多く、合意できないうちに積立金不足に陥りかねない。

一度にか徐々にか

積立金不足に対応するには一般に小刻みに増額するよりは一度にまとめて増やす方が効果的とされる。図Bは当初の積立額を月額7000円としてその後異なる方法で増額した2つのケースを比べた。どちらも30年間の積立額の合計が同じ金額(702万円)になるという設定だ。

5年経過後に約3倍の2万2000円に引き上げる場合、その際の負担増は大きいがその後金額は一定となる。一方、5年ごとに5000円ずつ引き上げる場合、積立額は20年後以降2万7000円、25年後以降3万2000円と高額になっていく。

段階式の場合、増額決議を繰り返す必要がある。しかも後年になるほど所有者が高齢化する例が多く、高額の支払いに耐えづらくなる。将来、反対する人が増えて決議できないリスクがより高まる。

すでに古くなったマンションは相続にからむ問題もある。親から住戸を相続した子どもが老朽化を理由に居住せずに放置するケースだ。1979年以前に完成したマンションの69%が空室を抱える。

積立金を増額しようにも「住んでいない人を説得するのは簡単ではなく、決議はより難しくなる」とNPO法人空家・空地管理センターの上田真一代表理事はいう。非居住の所有者と関係が途絶えないよう「管理組合が連絡に努めたい」と上田氏は助言する。

修繕にかかる支出を抑える工夫も必要だ。新築マンションは通常、建物・設備に対して保証がある。期限切れする前に不具合がないか調査し、見つかれば無償修理を交渉する。さくら事務所の土屋氏は「漏水危険箇所などを部分修繕し、全体修繕は工事費の高騰が沈静化するまで待てないか検討してみるのも手だ」と話している。

(堀大介)

[日本経済新聞朝刊2019年7月27日付]

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