忍者とARショーで訪日客を魅了 エイベックスが発信
エイベックスがインバウンド市場を見据え、最先端テクノロジーと日本の伝統・文化を融合した、超没入型ショーコンテンツを発表。「忍者エンタテインメントショー」と「AR LIVE SOLUTION」の2つの大規模リハーサルを行った。
忍者エンタテインメントショーは、2018年からエイベックスと日本忍者協議会がタッグを組んで進めてきた「NINJA PROJECT」の現時点における集大成だ。NINJA PROJECTとは「忍者×エンタテインメント」をキーワードに、エイベックスが培ってきたエンターテインメントと、日本忍者協議会が持つ知見を融合。忍者という文化や歴史を国内外に発信していこうというもの。総合演出を務めるエイベックスの中前省吾氏は「実は海外でNINJAは大人気で、SAMURAI(侍)よりも知名度がはるかに高い。日本を代表するIP(知的財産)としての確立が目的」と語る。
今回のショーは全4幕で構成。1幕は暗闇の空間のなか360度視点で楽しむ忍者ショー。まずは約2階の高さに位置する、壁、床、天井すべてが透明のアクリル板で作られた、箱型タイプの観客席へと誘導される。そしてショーが始まると、箱の周りに忍者たちが上からも下からも神出鬼没に現れ、現代風にアレンジした雅楽に乗せて、アクロバティックなパフォーマンスを繰り広げた。これらを演じたのは、「パルクール」や「トリッキング」といったエクストリームスポーツの第一人者たちだ。「現代版の忍者にふさわしい動きができる人たちを考えた時に、彼らを思いつきました」(中前氏)
2幕と3幕は、正面にステージがある観客席へと移動し、最新テクノロジーを駆使した様々なショーが行われた。まずステージには手妻師(日本古来の手品師)の藤山大樹が登場し、両手先に持ったライトを使ったマジックなどを披露した。その後に出てきたダンサーには「リアルタイムトラッキング」の技術を用い、手足の動きを追いかけるようにレーザーを投射。糸で操られたマリオネットのように見える演出が施された。
3幕では、最新鋭の「透過型スクリーン」を活用し、リアルな忍者とバーチャルな忍者が溶け合うようなショーに。そして4幕では、それまでの観客席とステージの位置が反転し、忍者たちによる圧巻のダンスショーが展開された。今夏には、パルクールとトリッキングのプレーヤーを中心に、全国でパフォーマンスツアーを行うという。
2つ目の「AR LIVE SOLUTION」は、AR(拡張現実)技術を活用した、超没入型の音楽ライブ。VTuberの響木アオと、まりなす(仮)、バーチャル・シンガーの初音ミク、AIシンガーのりんな、ARイケメンダンスボーカルグループのARPの全5組が、歌やダンスを披露した。
ここでも透過型スクリーンを使用。通常のARライブとの一番の違いは、投射されたキャラクターの後ろに実物の美術が設置されていること。その結果、奥行きが生まれ、キャラクターをより立体的に表現できる。
そして今年の秋に「XR LIVE FESTIVAL」を開催することも発表した。インバウンド施策とはいうものの、忍者やマンガといった日本独自のコンテンツが最新技術と組み合わさることで、日本人の認識も大きく変わっていきそうだ。
(日経エンタテインメント!7月号の記事を再構成 文/中桐基善 撮影/長谷英史)
[日経MJ2019年7月26日付]
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