後継ぎ社長が新ブランド一人営業 原点はアルバイト松山油脂 松山剛己社長(下)

――キャリアの原点という意味では。

「学生時代、マガジンハウスでアルバイトをしたことですね。当時、社内の編集者は3分の1ぐらいで、出入りしていたほかの3分の2はフリーランス。カメラマン、スタイリスト、編集者、プランナー、いろんな人材が集まってきて、好き勝手なことをやりながら、一つの雑誌に落とし込んでいく様子を見ていました。私がアルバイトをしていた時期の編集部では、編集長も社長も名前で呼ばれていました。全くのカオス状態でしたけれど、立場も役職も関係なく、丁々発止で意見を言い合う姿を見て、そういう自由度の高い、自律した組織をつくりたいと思いました」

「実は2019年4月から、『社長』という呼称をやめて、社員にも『松山さん』と呼んでもらっています。私のことを、社内ではもう誰も『社長』とは呼びません。なぜ社長という呼称を止めたかというと、『答えを持っている人』だと思われたくないからです」

「過去の事例を磨いて生産性を上げていくことが求められた時代には、階層が大事でした。でも、どの方向に向かうべきかの正解が全く見えない今のような時代には、階層はむしろ邪魔になります。松山油脂でも過去にあぐらをかかず、1年目の社員も10年目の社員も、あるいは社内でも社外でも、みんなが対等に話し合える環境づくりをしていきたいと思っています」

――これからの課題は。

「今、徳島でユズ、スダチなどを使ったジャムやマーマレード、ドレッシングなどの工場をつくるプロジェクトが動いており、そのホームページをつくっています。私と部長、入社3年目の社員、経理の女性、外部デザイナー2人という面々で会議しながらつくりました。いいものができたと自負しています」

社長に「正解=決定権」があるというイメージを遠ざけたいという

「いろいろな意思決定を現場でしないといけない段階に入っています。中央集権で指示を出して進めていける規模では、もうなくなりました。松山油脂とマークスアンドウェブのそれぞれに関して、各現場の責任者5人ずつぐらいが、しっかり意思決定していく体制をつくっていかなければなりません。現場に意思決定できる人間がいると、そこに意見が上がってきます。社長を目指して上げてくるようではタイムラグがあるし、おっくうがって上げてさえこない。現場で意思決定できる人材の育成をしていかないとスピードに乗り遅れてしまうので、そういう中核人材を育成しているところです」

「売上高20億円ぐらいまでは、圧倒的なカリスマだった」と語る松山社長。現在は、一人ひとりのやる気と能力を高め、チームプレーができる組織への脱皮に取り組んでいる。働き方改革もその一環だ。マガジンハウス、博報堂、三菱商事で学んだエッセンスが改革のヒントになっているようだ。

(ライター 曲沼美恵)

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