原因解明したつもりが問題再発 仕事の対症療法のワナ(3)浅い分析

例えば、退職理由を大別すると「自らの意思での退職」「会社の意思による退職(つまりクビ)」「本人も会社も望んでいない、やむを得ない理由での退職」の3つがあるでしょう。

さらに自らの意思での退職の場合、ポジティブな退職(転職もしくは起業や留学など)とネガティブな退職があります。ネガティブな退職の理由は様々なものがあります。例えば、受け入れられない問題が発生してしまった場合もあるでしょうし、入社時に受けた説明と実際の業務に大きな齟齬(そご)があったような場合も考えられます。

受け入れられない問題にも様々なパターンがあると考えられます。上司や同僚との人間関係の問題もあれば、作業環境が極端に良くない場合もあるでしょうし、ワークライフバランスが適切でない場合や、会社との信頼関係が壊れてしまったような場合、あまりにも理不尽な仕事の進め方に耐えられなくなったという場合もあるでしょう。そして、それぞれがなぜ発生するかを考えます。例えば、人間関係の問題であれば、若手社員側の問題と上司や周りの同僚の問題の双方があると考えられます。

本人のストレス耐性の問題もあれば、コミュニケーション能力の問題である可能性もあります。また、上司や周りの同僚のコミュニケーション能力や指導方法の問題もあるかもしれません。

しかし、ここで分析を終えてはいけません。「本人のストレス耐性やコミュニケーション能力の問題だから仕方ない」で済ませるわけにはいかないでしょう。同様に「上司や同僚のコミュニケーション能力や指導方法が悪いから仕方ない」というわけでもないでしょう。

● ストレス耐性が低い新入社員を採用したのはなぜか?
● コミュニケーション能力が低い理由は何なのか?
● 上司や同僚の指導方法に問題があるのはなぜなのか?

これらを検討するわけです。ここである特定の個人を理由にすることはお勧めしません。問題の原因を個人に帰することは正しい対策に繋がりません。

こうやって何度も「なぜ」を繰り返し、同じ理由が繰り返し出るまで続けます。多くの場合、この「なぜ」の繰り返しが足りていないのです。

根本原因解析(RCA)を徹底的に行う。
RCAを行う際は、主語、述語、目的語を正しく使い、具体的な表現を心掛ける。
「なぜ」を何度も繰り返す(最低でも5回程度)。

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米澤創一
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授。プロジェクトマネジメントコンサルタント、人材育成コンサルタント。京大卒。元アクセンチュア・マネージングディレクター。著書に「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」など。

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