原因解明したつもりが問題再発 仕事の対症療法のワナ(3)浅い分析

■浅い分析のケース2 たび重なる増員要請
新任のプロジェクトマネージャーであるあなたに現場リーダーから連絡があった。本来ならば30名体制でなければいけないシステム開発プロジェクトに、現在は20名しかいないらしく、増員が必要とのことだ。
プロジェクト計画書を確認すると、確かにこのフェーズは30名体制が必要であり、いまの体制のままでは、この先、大幅な遅延が見込まれる。10名の増員についてはプロジェクトマネージャーとして了承した。
それから2カ月後、その現場リーダーから再度、5名の増員が必要との連絡があった。前回、社内調整をして何とか10名の増員をしたというのに、どういうことだろうか?
話によると、以前に増員した10名はプロジェクトの戦力として活躍しているそうだが、元々プロジェクトにいたメンバーが相次いでプロジェクトから抜けてしまったらしい。
その後、プロジェクトの状況を詳細に調べてみたところ、プロジェクト発足直後からいるメンバーはほとんど残っておらず、メンバーの入れ替えがかなり頻繁に起こっていることがわかった。古いメンバーがほとんどいないために、プロジェクト発足時の重要な情報がメンバーに伝えきれていないという副作用も出ている。
プロジェクトメンバー一人ひとりにヒアリングしてみたところ、この現場リーダーはパワハラ体質らしく、既存メンバーの大半はそれが原因でプロジェクトから離脱したそうだ。

プロジェクトメンバーの増員を要求されたときに、なぜ20名体制になったのかの根本原因解析を行うべきでした。30名いるべきところが20名しかいない、人が足りていないという単純な話ではなかったのです。

現場リーダー自身がプロジェクトメンバー離脱の原因だったことは、現場リーダーからの報告だけではわかりません。

ワナ3「浅い分析」の脱出法

根本原因解析(RCA=Root Cause Analysis)が十分にできていないことにより、問題の根本原因ではなく、問題の現象そのもの、もしくは根本原因ではない表層的な原因に対して手を打ってしまいました。一見、問題は解決できたように見えても、すぐに再発してしまいます。いわゆる対症療法しかできていない状況です。

RCAを行う際には、「なぜ」を繰り返す手法をよく使います。その際、注意しなければいけないのは、日本語の正確な使用です。

言い換えれば、主語、述語、目的語を省略せず、曖昧にしないということと、具体的な表現を心掛けることです。

例えば、人事部の悩みとして「若手の退職率が高い」といったものがあるとします。その際、そのまま「若手の退職率が高い」というものを解決すべき問題として取り上げるのでは不十分です。

「若手」の定義は人によって異なる可能性がありますし、「退職率」の定義も議論するメンバー間で同じかどうか確認すべきです。さらに「高い」というのがどれくらいかも明確にしなければなりません。

例えば、「入社3年以内の社員の退職率が20%に達しており、これを10%未満にしたい」というように定義する必要があります(退職率の定義は別途なされているという前提ですが)。その際にも、目標としている「10%」の根拠などについても説明しなければなりません。

そして、「入社3年以内の社員の退職率が20%に達している」理由を掘り下げていくわけです。入社3年以内に退職するのはなぜか?をとことん考えるわけです。

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