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魚も人のように夢をみる? よく似た睡眠サイクル確認

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ナショナルジオグラフィック日本版

眠れぬ夜もあっただろう。だが、科学者たちがこの研究に捧げた10年が、ようやく報われた。小さな魚、ゼブラフィッシュの脳の睡眠パターンを特定し、そのパターンが人間の睡眠中の脳の活動と非常に似ていることを突き止めたのだ。

2019年7月10日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文によると、魚類と哺乳類で同じような睡眠パターンが見つかったことは、共通の祖先における睡眠の進化を解明する手がかりになるかもしれないという。これは、睡眠の生物学的な機能の理解を深めることにもつながる。

「睡眠は、神経科学における大きな謎なのです」とミバエの睡眠を研究する米カリフォルニア大学サンディエゴ校の生物学者ウィリアム・ジョイナー氏は話す。睡眠は何のためにあるのか、その答えを求めて多くの研究が行われてきた。しかし、「本当の意味での正解には、誰もたどり着いていないのです」。なお同氏は、今回の研究には関わっていない。

レム睡眠とノンレム睡眠

今回の研究では、ゼブラフィッシュが眠りに落ちるところを観察するために、高度なイメージング技術を用いた。その結果、ゼブラフィッシュの睡眠状態には、人と同様のサイクルがあることを発見した。レム睡眠とノンレム睡眠である。この睡眠パターンはこれまで、哺乳類や鳥類、トカゲなど、さまざまな動物で確認されてきた。だが魚では、今回が初の観察例だ。

研究チームによると、魚類と哺乳類の進化の関係を考慮すれば、レム・ノンレム睡眠的な現象が進化したのは4億5000万年以上前に遡るのではないかという。そうだとすると、このタイプの睡眠は生物学的にかなり古くからある現象だということになる。

「共通しているのは背骨があることだけではないのです」と論文の共著者である米スタンフォード大学の神経科学者フィリップ・ムーラン氏は話す。「睡眠とは何か、睡眠中に体内で何が起きているのかを理解する手がかりになります」

今回の論文で使用された手法は、睡眠の研究における新たな標準になる、と他の専門家は言い、ジョイナー氏は今回の論文を「技術的な偉業」と呼ぶ。だが、これで本当に睡眠の進化について多くのことが明らかになったと、誰もが納得しているわけではない。

「魚からネズミや鳥、爬虫類、人間に至るまで、まっすぐな一本線を引けるのか、私は疑問です」とネズミの睡眠を研究するスイス、ローザンヌ大学の神経科学者ポール・フランケン氏は話す。

魚の神経活動を生きたまま観察

ゼブラフィッシュが眠るということは、行動観察の結果から、すでに知られていた。しかし、睡眠研究の王道は生理学だとフランケン氏は言う。

論文の著者である米スタンフォード大学の神経科学者ルイス・C・レオン氏は、複雑なイメージングが可能な顕微鏡を開発し、今回の研究で用いた。ほとんどの身体活動は、神経細胞(ニューロン)の複雑なネットワークがつかさどっている。ニューロンが活動すると、内部のカルシウム濃度が上がる。そこで、ゼブラフィッシュの遺伝子を操作して、カルシウムと反応すると緑色の蛍光を発するタンパク質を導入することで、活動中の体の領域がわかるようにした。

研究チームは、生後わずか2週間のゼブラフィッシュに的を絞った。この時期のゼブラフィッシュは透明だからだ。このため、傷をつけたり電極を埋め込んだりすることなく、脳やその他の体内の活動を観察できる、とレオン氏は説明する。

ゼブラフィッシュをゼリー状の物質に漬けて動けなくしてから、顕微鏡で観察を始めた。注目したのは、脳の活動、心拍数、筋肉の活動、眼球運動など、生理学的に鍵となる要素である。

まもなく、ニューロンが活動する時と活動しない時のパターンが判明した。レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルに似た神経活動の証しを突き止めたのだ。

「思わず息をのみました」とレオン氏は話す。

その後、この活動パターンが本当に睡眠なのかを確かめるため、ゼブラフィッシュが「うたた寝」するのを邪魔して睡眠不足に陥らせた。この寝不足のゼブラフィッシュで実験したところ、同じニューロン・パターンが現れるだけでなく、より顕著になることを確認した。それに加え、心拍数が半減し、筋肉の活動が低下する深いノンレム睡眠のような状態になることもわかった。

ゼブラフィッシュの覚醒時の脳は、睡眠状態に比べると、ニューロンが無秩序に点滅してとても騒がしい、とレオン氏は言う。

共通祖先の睡眠

多くの生物は、温度などの環境要因によって、睡眠の長さと深さが影響される。例えば、人の睡眠時間は、気温が低い方が長くなる。哺乳類が体を温かく保ったり冷やしたりする体温調節は、レム・ノンレム睡眠に関連すると長年考えられてきた。しかし、ゼブラフィッシュの睡眠状態が人間と似ていることから示唆されるのは、体温調節ができるように進化する前から、このタイプの睡眠が存在した可能性だ、と研究チームは主張する。

しかし、今回の研究結果を哺乳類と関連付けるのは難しいと、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の睡眠科学者ジェリー・シーゲル氏は言う。哺乳類と魚類が枝分かれしたのは、はるか昔のことだからだ。ほぼすべての動物が眠ることは同氏も認める。だが、同じ哺乳類でさえ、睡眠は大きく異なる。

「単純に『睡眠は睡眠だ』とは言えないのです」と同氏は話す。哺乳類の中だけでも、1日に必要な睡眠時間は、3~20時間とさまざまだ。多くのクジラ類のように、レム睡眠をしない動物もいる。それとは反対に睡眠の大部分をレム睡眠が占め、カモノハシのように最大8時間も続く哺乳類もいる。

さらに、今回の研究は生後間もない幼魚で行われたが、その結果が必ずしも成魚にもあてはまるわけではない、とシーゲル氏は言う。動物界では、赤ちゃんと親の睡眠が異なるケースは多いのだ。

新薬開発に役立つ?

一方、特に今回の研究で使われた技術について、もっと好意的な見方を示す専門家もいる。睡眠パターンを示す神経活動のしるしが「魚で見つかるかは不明でした。ですが彼は今回、それを発見したのです」と米ワシントン大学セントルイス校の睡眠科学者ポール・ショー氏は話す。なお、同氏も今回の研究には関わっていない。「まさに驚くべきことです。本当にすごい!」

同氏らは、これほど小さな規模で睡眠を詳細に観察できるイメージング技術を特に賞賛している。

「百聞は一見にしかず。この技術で本当に気に入っている点はそこです」とショー氏は話す。「(今回の研究では)睡眠状態を推測する必要がないのです」

多くの国で、睡眠不足が人々に広まりつつある。今回の技術的進歩は、睡眠不足と闘うために新薬を開発する医療専門家にとって価値がある可能性がある。将来、今回のような観察技術を使って狙い通りの細胞を活性化しているかどうかを確認できるようになれば、薬のスクリーニング精度を高められるかもしれないと、レオン氏は語る。

「生きたままの動物の個々のニューロンを見て、さまざまな薬にどう反応するかを観察できるなんて、すばらしいことです」とフランケン氏は語る。「これは、大きな進歩なのです」

(文 JENNY HOWARD、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年7月12日付]

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