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1.5億年前の恐竜は羽毛持つ新種 飛翔の起源揺さぶる

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/8/3

研究チームはその結果、ヘスペロルニトイデスはジュラ紀後期に生きていたトロオドン科の一種であるとした。約7500万年前の白亜紀に生息していたヴェロキラプトルなどドロマエオサウルス科を含む、原鳥類の初期の仲間だ。

映画『ジュラシック・パーク』で悪名をとどろかせたヴェロキラプトルと同じように、ヘスペロルニトイデスの両足には、獲物のはらわたをえぐり取るのに便利そうな、大きな鎌形のかぎ爪があった。鳥に似た特徴も多かったが、地上で生活していたのは明らかで、鳥類が地上を走る恐竜から進化したとする仮説を裏付けているように思われた。

ヘスペロルニトイデス・ミエススレリという学名を与えられたジュラ紀の恐竜「ローリ」の化石。ワイオミング州でこれまでに発見された恐竜の中では最も小さい(PHOTOGRAPH BY LEVI SHINKLE)

専門家は、ヘスペロルニトイデスの全身が羽毛に覆われていて、前肢の長い羽毛は事実上の小さな翼になっていたと考えている。しかし、全身と前肢の比率は、ヘスペロルニトイデスが飛べなかったことを示唆している。彼らはおそらく湿地や湖畔にすみ、小型の哺乳類やトカゲや恐竜を襲って食べていたのだろう。

「いかにも『ラプトル』らしい恐竜でした。行動は鳥によく似ていて、ニワトリほどの大きさで、長い尾をもっていました」とローマックス氏。

■飛翔の起源

米モンタナ州立大学の古生物学者でトロオドン科の恐竜の研究をしているデビッド・バリッチオ氏は、今回の研究には参加していないが、この小さな恐竜は「モリソン層での150年にわたる化石発掘の中でも非常に珍しい発見であり、最高のものです」と話す。

中国で同様の化石が発見されていることから、専門家は、米国のモリソン層でも鳥に似た小型の恐竜の化石が発見されるはずだと考えていた。しかし、100年以上にわたる発掘調査でも「そうした標本は、ほとんど発掘されませんでした」とバリッチオ氏は話す。「私たちがこの時代の北米のことを、いかに知らないのか、改めて考えると驚きます」

ヘスペロルニトイデス・ミエススレリの化石化した頭蓋骨を含む岩塊。(PHOTOGRAPH BY LEVI SHINKLE)

これまでに見つかったヘスペロルニトイデスの化石は全身の約44パーセントに当たる。この地域で発掘された小型恐竜の化石の中では、かなり完全に近いほうだ。ほかの化石は歯くらいしか見つかっていない。そして論文の著者らは、恐竜の系統樹でヘスペロルニトイデスのグループを鳥類に近い恐竜と位置づけた。

今回の研究チームを率いた米ウィスコンシン大学マディソン校のスコット・ハートマン氏は、自分たちの研究を根拠に、「翼や羽毛など、私たちが鳥と結びつける特徴のほとんどが、鳥が飛ぶようになるよりも前に地上で進化してきたようなのです」と言う。樹上で暮らしていたと推定されている中国の恐竜は、飛ぶ鳥の進化の過渡的な段階と考えられてきたが、ハートマン氏は、これらは鳥類の直接的な祖先とは独立に飛行を進化させたのかもしれないと考えている。

中国、北京にある脊椎動物古生物学・古人類学研究所の古生物学者ジンメイ・オコナー氏は、「この時代の鳥に近い恐竜の化石は非常に少なく、彼らの標本はたしかに非常にクールです」と言う。「恐竜の中で飛行が何度も進化してきたのは明らかで、今回の新しいデータはそのことを裏付けています」

しかし、オコナー氏は、彼らの発見のうち鳥類の起源に関する部分はまだ推測の域を出ず、ほかの証拠で関連性がはっきりするまで、簡単に支持するべき説ではないとも釘をさす。

バリッチオ氏も、「私たちは、飛行や鳥類が進化してきた背景や時期について語る前に、まだ知らなければならないことがあります」と言う。「しばらくは、混乱した状況が続くでしょうね」

(文 JOHN PICKRELL、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年7月20日付]

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