定番ベストセラーで発想を変える ビジネスに効く文庫第5回 ベストセラー本

日本の都市インフラとそれをつくるゼネコンが世界トップレベルなのは、おそらく「たまたま」この土地が災害に見舞われやすい土地であることが原因だろう。家康の時代、たびたび氾濫する川と沼地だらけだった江戸を大都市にした技術は、いまでも災害と無縁な先進国のそれをしのいでいるのである。

最近は、日本経済の行き詰まり感から、ビジネス書でもこれからの産業についての議論が増えているが、大切なのは、ないものに目を向けることよりも、「既に持っている強み」に目を向けることであろう。

ダイエットが浮気を誘発?

ケリー・マクゴニガル著『スタンフォードの自分を変える教室』

最後に、最近の「頑張らない」風習を作った本、ケリー・マクゴニガルの『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房)を紹介したい。

本書によると、人間の「意志力」には限界がある。週刊誌やワイドショーのスキャンダル記事を見ると、われわれはつい、誘惑に強い人間と弱い人間がいると思ってしまいがちだが、じつは正しい使い方を知らないと、どんな人でも意志力を使い果たしてしまうことがあるのだ。

睡眠不足(6時間未満はまずいらしい)やストレス、血糖値の低下、空腹、死亡記事を見ることなどは、いずれも人間を誘惑に負けやすい状態に追い込むものであり、きわどい判断を迫られるビジネスマンにとっては、望ましい状態とは言えない。われわれは空腹のときには、リスクの高い投資に手を出す傾向すらあるのだ。

また、我慢ばかりしていると「反動」が起こる。本書によると、「24時間禁煙した喫煙者は、アイスクリームをドカ食いする確率が高く」なり、「大好きなカクテルを我慢した人は、持久力のテストで体力が落ち」る。そして、最も穏やかならぬ例として挙げられているダイエットは、浮気を誘発する可能性があるようだ。我慢を美徳とする日本の文化も、これを機に改める必要があるのかもしれない。

以上、ベストセラーから、議論の際に使えそうな3冊を選んでみたが、他にも読むべき本のリストを作っておいた。ぜひチェックしていただきたい。

土井英司
1974年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業。2000年にAmazon.co.jp立ち上げに参画し、同社最初のCompany Awardを受賞。04年に独立し、メルマガ「ビジネスブックマラソン」をスタート(現在、読者数5万4000人)。読売新聞、ベストセラーBookTV、ラジオNIKKEIでレギュラーを務めるなど、メディア出演多数。世界的ベストセラー作家、近藤麻理恵氏の育ての親としても有名。

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この連載で紹介する書籍は 全国各地の書店で展開する【「ビジネスブックマラソン」が選ぶ! 本当に使えるビジネス文庫50選】フェアにても購入いただけます。フェアは5月末より随時開催中です。実施店などの詳細は次のサイトをご覧ください。>>>「ビジネスブックマラソン」が選ぶ!本当に使えるビジネス文庫50選

新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫)

著者 : 橘 玲
出版 : 幻冬舎
価格 : 702円 (税込み)

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

著者 : ジャレド・ダイアモンド
出版 : 草思社
価格 : 972円 (税込み)

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)

著者 : ケリー・マクゴニガル
出版 : 大和書房
価格 : 799円 (税込み)

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