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ビジネスに効く「文庫」はこれだ!

定番ベストセラーで発想を変える ビジネスに効く文庫 第5回 ベストセラー本

2019/7/27

土井英司氏(メキシコ・メキシコシティの国立人類学博物館で)

「ビジネス文庫」カテゴリーの創設を目指して始めた「本当に使えるビジネス文庫」企画。毎回ジャンルごとに、文庫の名著を紹介している。第4回の「時間術と会計スキルが出世道」に続き、連載の最終回となる5回目のテーマは「いまこそ、あのベストセラーを読む」。読んでいないと恥ずかしいビジネス書のベストセラーを紹介したい。

◇   ◇   ◇

ビジネス書のベストセラーは数多くあり、すべてを読むことは難しい。だが、会話のなかで引用される定番ベストセラーは、読んでいないとマイナス評価にもつながり得る。

■資産を増やすためのフレームワークを知る

橘玲著『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』

まず、投資やお金の分野で引用されることが多いのが、橘玲の『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)だ。本書で紹介された「お金の方程式」=「(収入-費用)×運用」は、資産運用の話をするときの基本となるので、ぜひ押さえておきたい。要するに、資産を増やしたいなら、収入を増やすか、費用を減らすか、残ったお金を運用することなのだが、フレームワークとして便利なのでよく使われている。

同様に、文庫にはなっていないが『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(ロバート・キヨサキ 筑摩書房)で紹介された、「4つのクワドラント」の考え方もよく引用される。「クワドラント」とは4等分の意味だ。こちらも一緒に覚えておこう。

・Eクワドラント・・・Employee(従業員・サラリーマン)
・Sクワドラント・・・Self-employed(自営業)
・Bクワドラント・・・Business-owner(ビジネスオーナー)
・Iクワドラント・・・Investor(投資家)

どのクワドラントにいるか、と幸福は必ずしもリンクしないが、収入と自由度を考える際に便利な分類だ。

■競争優位性はどうやって生まれるか

ジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄(上)』

次いで、日本経済のこれからを論じる際に押さえておきたいのが、競争優位性の本質を説いた名著『銃・病原菌・鉄(上・下)』(草思社)。このジャレド・ダイアモンドの思考の旅は、ニューギニア人のヤリ氏との対話から始まる。

「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」

なぜユーラシア大陸が発展したのか、なぜスペインのピサロは圧倒的に少ない人数でインカ帝国を征服できたのか……。その答えは、ユーラシア大陸が横に長い大陸だったこと。スペインのインカ帝国制圧に関しては、スペイン人がたまたま家畜を飼っていて病原菌の免疫を持っていたのに、インカ帝国の人々は持っていなかったこと、インカ帝国の人々は石や青銅や木製の武器で戦ったのに、スペイン人は鉄製の武器で戦ったことが原因だった。ここからわれわれは、競争優位性が「たまたま」生まれるということを学ぶべきだろう。

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