「ちょうど足りる範囲で暮らす」生活に慣れよう
そして、老後に至っては「2000万円あるかどうか」はそれほど重要ではありません。それよりも収支のバランス、特に「基礎的な生活費と年金収入のバランス」を意識することが第一です。
無理せずうまくやりくりできる人は、教養・娯楽費や交際費を含めても支出を公的年金収入の範囲に収められることがあります。これなら「リタイア時に1000万円」でも残高はまったく減らないことになります。
第二に大事なのは、定年までに蓄えた財産をきちんと把握し、「毎月取り崩してもいい金額」を確定させることです。そうすれば、それからのセカンドライフがどんなに長くてもお金の心配から離れることができます。
例えば「月2万円の取り崩し+年に一度12万円の旅行+子や孫への支出に年10万円」とすると、年46万円を取り崩すことになります。これを30年で見積もるなら1380万円の予算があればやりくりできる、ということです。もしリタイア時に2000万円あれば、少し余裕を残しながらセカンドライフを送ることができるでしょう。
月4万円弱(年46万円)の取り崩しを「こんなに下ろしていいのだろうか」とビクビクするのではなく、「これで30年はやりくりできるし、30年後も貯蓄がまだ残っているから大丈夫」と安心できることが大事です。
予算がわかれば老後破産の心配などせず、「予算の範囲で楽しむ方法」をたくさん考えてみてください。どこに旅行に行くか、孫に何をプレゼントするか、月に一度行く美術展は何を見るか、その帰りにどこで食事をするか――。「楽しさをたくさん買う」ことに時間を使ってほしいと思います。
全国平均の「老後に2000万円」問題なんて、年金生活者になったらまったく気にする必要はないのです。自分(と配偶者)のことだけ考え、楽しいリタイアメント生活にしたいものです。
