今月のマネーハックのテーマは「老後に2000万円」です。これまでの4回で、誤解を解きつつ、2000万円をつくる方法(退職金・企業年金を入れることで実現できる方法)を考えてきました。
最終週の今回はボーナストラックとして、「2000万円に到達せずにリタイアしても大丈夫」というプラスアルファの話をしてみたいと思います。
リタイアまでは2000万円以上を目指しがんばろう
「2000万円以上ためる」と「2000万円なくても暮らせる」というのは相反する考え方に思えるかもしれません。しかし、私がお金のアドバイスをする場合、矛盾する概念ではありません。
これは「現役時代はできるだけお金をためて引退する努力をしよう」ということと、「引退したら、今あるお金の範囲で無理なく暮らしていこう」という「時点」が異なる話であるからです。
リタイアまでは「2000万円」に安心することなく、どんどん老後資金をためていくことをオススメします。ファイナンシャル・プランナー(FP)の多くはよく「3000万円」を目指せと言います。
「2000万円を月に5.5万円ずつ取り崩しても30年持ちます」と言われても、実際に2000万円をためてリタイアした人が毎月5.5万円ずつ減らしていくのに普通は不安に感じ、実際にはそれだけ使えないものです。
「老後に2000万円」というのは、100歳人生をにらんで、毎月の不足額から計算されたものです。しかし、予定外の出費が生じることはありますし、まとまったお金を必要とすることがあります。余裕を残しておきたいと考えるのは当然の心理です。
「ぴったり2000万円あれば安心」と考えず、ためられる力がある人はもっともっと貯蓄してみてください。「夫婦の退職金だけで2000万円になりそうだから、iDeCo(個人型確定拠出年金)に入らなくてもいいじゃないか」と考えると、リタイア後の生活を窮屈にしてしまうかもしれません。
老後資金は増やせば増やすほど、老後が楽になることは間違いないのです。