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男性育休必須化から3年 リクルートの女性が変わった

清水淳リクルートコミュニケーションズ社長(上)

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NIKKEI STYLE

企業で男性社員に育児休暇を取得させる動きが相次いでいる。働く女性の育児負担を減らすには、男性社員や職場の意識を変えるしかない。他社に先駆け、2016年に男性社員の育児休暇を必須のものとして制度を導入したのがリクルートコミュニケーションズだ。制度導入から3年あまり。制度の狙いと導入後の状況を清水淳社長に聞いた。

男性の働き方の常識を変えたい

白河桃子さん(以下敬称略) 女性のキャリア形成にとって、男性の働き方改革は切っても切り離せません。特にここ最近、話題になっているキーワードが「男性育休」。男性の育休取得の「義務化」を目指す議連が自民党内で発足し、6月、安倍首相に提言を申し入れたこともニュースになりました。ただ、気になるのは、男性育休を推進してからの「その後」です。16年4月から「男性の育休取得の必須化」をスタートした御社に、制度導入の背景と成果について伺いたいと思います。まず、制度の概要から教えていただけますか。

清水淳社長(以下敬称略) 配偶者出産直後の男性社員を対象に、育児を目的とした休暇を「2日取得可能」という有休制度はもともとありました。これを「最大20日取得可能」とし、「うち5日は必須」としたのが、3年前の制度変更でした。それも、お子さんが1歳になる月の末日まで、1日単位で何回に分けて取ってもいいという柔軟性を持たせたのもポイントです。

白河 最大20日のうち5日が必須なんですね。3年前は、世の中で「男性育休」がさほど話題になっていない頃。非常に先進的な取り組みですね。

清水 導入が16年ですが、議論を始めたのはもっと前、15年ごろからでした。

白河 なぜ男性育休の「必須化」が必要だと判断されたのでしょうか?

清水 まず強調させていただきたいのが、当社にとっての男性育休必須化は、「社員一人ひとりが、いかに継続的にパフォーマンスを発揮できる組織にしていくか」という成長戦略の一環だったという点です。

組織が成長を続けていくには、能力の高い社員が持続的にキャリアを積むことが重要ですが、当社の場合、「女性活躍」が課題となっていました。結婚や出産といったライフイベントが重なる30歳前後の女性社員たちの中には、管理職になることに前向きになれない人の割合が多かったんです。この女性たちの意識を変えるには、男性の働き方を変えて、女性がキャリアを継続することに不安を持たない風土をつくることが不可欠である。そんな考えから始まった制度改革の一つが男性育休の推進だったのです。

当初は「必須」とせずに「権利だけ与えて、自由選択にすれば」という意見もあったのですが、それでは「常識」が変わらないだろうと判断し、あえて「必須」としました。

白河 常識を変えたかった。その常識とはどういうものですか。

清水 「男性は、仕事を休んでまで子育てや配偶者の出産に関わるものではない」という常識です。この常識を変えなければ、女性活躍は実現しないという思いがありました。ただし、個人の事情による選択の自由度も持たせたかったので、5日間のみ必須として、20日間までは自由取得という設計に。休むための理由も問わず、予防接種のために休んでもいいですし、奥さんがママ友ランチに参加する日の子守のために休んでもオーケーです。

「パパダイムシフト」で女性の働き方も変わった

白河 「義務」ではなく「必須」という表現を使われたのにもこだわりが?

清水 これも議論がありました。役員会で話す中で「『義務』というと、少し強制的なニュアンスがあるから違和感がある」という意見が多く、「『必須』であれば、それほど抵抗は感じないのでは」と落ち着きました。結果、これは男性社員にも自然に受け入れられたようで、制度導入の発表をした後の反応もおおむね良好で、むしろ「休み方の具体例を知りたい」といったポジティブな問い合わせが寄せられました。

白河 実際に「常識」は変わりましたか。変わったとしたら、どのくらいで変化の実感がありましたか。

清水 思ったより早く、ガラリと変わりました。当社では、「女性社員が仕事と家庭の両立をしていけるイメージを持てているか」という社内調査を継続的に行っているのですが、男性育休必須化の導入前の年は「両立できる」と答えた割合が30%台だったのに対し、1年後、導入した後の調査では「両立できる」が70%近くに。まさに逆転現象で、「パラダイムシフト」が起きました。ちなみに当社では、男性育児支援の施策を「パパダイムシフト」と名付けて応援しています。

白河 男性の働き方を変えたら女性が変わった! パパダイムシフト、つまり、男性の子育ての常識を変えていく。いい言葉ですね。しかし、女性社員の意識がそこまで劇的に変わった理由としては、何が一番大きかったのでしょうか。

清水 16年秋に導入したリモートワークの成果もあると思います。これまで早く帰ることに後ろめたさを感じていた子育て中の社員が、帰宅後にも在宅で仕事の続きをできるようになりました。男女共に、パフォーマンスの上げ方に多様性が生まれたという流れがあると思います。それも1年くらいの短い期間で、グッと風土が変わっていきましたね。

白河 リモートワークの利用率はどのくらいですか?

清水 利用経験のある社員率でいうとほぼ100%。利用ペースとしては、平均して週に1日強で、多い人は週3日程度。逆に、それ以上増えることはなさそうですね。

白河 フランスの研究でも、リモートワークは週2日くらいが適正だという結果が出ているそうです。女性の働き方や意識の変化についてもう少しお伺いしたいのですが、「時短」を早めに切り上げてフルタイムに戻る人は増えていませんか。

清水 数字として比較できる調査はしていませんが、子どもを産む社員が増えているのにもかかわらず、時短制度を利用する率が減ったと聞いています。むしろ、リモートワークを活用して子育てと仕事を両立するのが当たり前になってきたことで、復職社員の実質的な労働時間は増えているほどです。

ワーキングマザーが管理職として活躍

白河 おそらく、「時短にしなくても、リモートもあるし、社内の風土も変わってきたから、フルタイムのままで復帰できそう」という感覚を持てるようになったのでしょうね。女性管理職比率にも変化はありましたか。

清水 2010年ごろには女性マネジャー比率が20%を切っていましたが、今では37~38%で安定してきています。伸びた理由として、ワーキングマザーが管理職として活躍するようになったという背景があります。時短のまま昇進してマネジャーになるケースも珍しくありません。

白河 私が10年ほど前に研修でおじゃましていた頃には、25歳の女性社員から「仕事以外のことを考えてもいいんですね」と驚かれたり、「ライフイベントのことは考えないようにしているので、言わないでください」と戸惑われたりしたものですが、隔世の感がありますね。

清水 今はだいぶトーンが変わってきていると思います。先日、地方の支社で働く女性社員たちの声を拾ってきたのですが、「子どもが熱を出した時のサポートがとても助かる」と言われました。これは男性育休必須化と同時に始めた制度で、就学前のお子さんの疾病時に上限2万円・回数無制限の実費支給をするといったものです。病児シッターを利用できる選択肢が増えるだけで、働き続けるためのハードルが下がる。会社がやるべきことは、選択肢を増やすことなのだとあらためて感じました。

白河 選択肢がいくつもあると分かっていたら、将来も前向きに描けそうです。同時に、女性社員側のニーズもより具体的になってきているのですね。こういった女性の意識の向上には、「男性社員が育休を取るようになった」という変化も影響していると感じますか。

清水 少なくとも、一つの安心材料にはなっていると思います。

白河 素晴らしいですね。最近、機関投資家に提供される非財務情報のうち「ジェンダー投資」のスコアとして注目されているのが、「男女が平等に子育てに参加できる環境を整えているか」という項目です。面白いのは、女性にとって、育児に参加するのが自分のパートナーではない同僚男性であっても、キャリアの安心感につながるということ。これはアクセンチュアの調査で報告されていました。つまり、職場においては「ライバル」である同僚男性と平等であることが重要なのだなとふに落ちました。

清水 我々としてはそこまで意図したわけではないのですが、結果的にそういった効果もあるのかもしれないですね。今のお話に関連すると、この男性育休必須化を打ち出した当初、「なぜ会社がお金を負担してまで、男性の育休推進を? 配偶者が他社社員の場合、もったいないと思わないのですか」と質問を受けたことがありまして。非常に意外で、なぜそういう感覚を持つのか不思議でしかありませんでした。なぜなら、我々にとってこの制度のゴールは、育児参加でも働き方改革でもなく、あくまで組織として業績を上げるためのもの。当社の男性社員の配偶者が他社にお勤めであったとしても、当社の業績向上のために必要な施策なのですから、もったいないという発想にはなりません。

白河 実際のところ、女性社員比率が高い会社は「負担が多過ぎる。男性側の会社もしっかり子育て支援をやってほしい」と悲鳴を上げています。社会全体のためには、御社のような取り組みはどんどん広げていただきたいですね。

(次週公開の後編では社長自身の育児休暇経験、育休取得後の評価やキャリアの問題、業績や社員のパフォーマンスへの影響などについてお伺いします)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(ライター 宮本恵理子)

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