男性育休必須化から3年 リクルートの女性が変わった清水淳リクルートコミュニケーションズ社長(上)

1989年4月にリクルート(現リクルートホールディングス)に入社、2013年4月リクルートコミュニケーションズ社長に就任。18年7月にリクルート執行役員に就任と同時にリクルートテクノロジーズ社長も兼務(写真:吉村永、以下同)
1989年4月にリクルート(現リクルートホールディングス)に入社、2013年4月リクルートコミュニケーションズ社長に就任。18年7月にリクルート執行役員に就任と同時にリクルートテクノロジーズ社長も兼務(写真:吉村永、以下同)

企業で男性社員に育児休暇を取得させる動きが相次いでいる。働く女性の育児負担を減らすには、男性社員や職場の意識を変えるしかない。他社に先駆け、2016年に男性社員の育児休暇を必須のものとして制度を導入したのがリクルートコミュニケーションズだ。制度導入から3年あまり。制度の狙いと導入後の状況を清水淳社長に聞いた。

男性の働き方の常識を変えたい

白河桃子さん(以下敬称略) 女性のキャリア形成にとって、男性の働き方改革は切っても切り離せません。特にここ最近、話題になっているキーワードが「男性育休」。男性の育休取得の「義務化」を目指す議連が自民党内で発足し、6月、安倍首相に提言を申し入れたこともニュースになりました。ただ、気になるのは、男性育休を推進してからの「その後」です。16年4月から「男性の育休取得の必須化」をスタートした御社に、制度導入の背景と成果について伺いたいと思います。まず、制度の概要から教えていただけますか。

白河桃子さん

清水淳社長(以下敬称略) 配偶者出産直後の男性社員を対象に、育児を目的とした休暇を「2日取得可能」という有休制度はもともとありました。これを「最大20日取得可能」とし、「うち5日は必須」としたのが、3年前の制度変更でした。それも、お子さんが1歳になる月の末日まで、1日単位で何回に分けて取ってもいいという柔軟性を持たせたのもポイントです。

白河 最大20日のうち5日が必須なんですね。3年前は、世の中で「男性育休」がさほど話題になっていない頃。非常に先進的な取り組みですね。

清水 導入が16年ですが、議論を始めたのはもっと前、15年ごろからでした。

白河 なぜ男性育休の「必須化」が必要だと判断されたのでしょうか?

清水 まず強調させていただきたいのが、当社にとっての男性育休必須化は、「社員一人ひとりが、いかに継続的にパフォーマンスを発揮できる組織にしていくか」という成長戦略の一環だったという点です。

組織が成長を続けていくには、能力の高い社員が持続的にキャリアを積むことが重要ですが、当社の場合、「女性活躍」が課題となっていました。結婚や出産といったライフイベントが重なる30歳前後の女性社員たちの中には、管理職になることに前向きになれない人の割合が多かったんです。この女性たちの意識を変えるには、男性の働き方を変えて、女性がキャリアを継続することに不安を持たない風土をつくることが不可欠である。そんな考えから始まった制度改革の一つが男性育休の推進だったのです。

当初は「必須」とせずに「権利だけ与えて、自由選択にすれば」という意見もあったのですが、それでは「常識」が変わらないだろうと判断し、あえて「必須」としました。

白河 常識を変えたかった。その常識とはどういうものですか。

清水 「男性は、仕事を休んでまで子育てや配偶者の出産に関わるものではない」という常識です。この常識を変えなければ、女性活躍は実現しないという思いがありました。ただし、個人の事情による選択の自由度も持たせたかったので、5日間のみ必須として、20日間までは自由取得という設計に。休むための理由も問わず、予防接種のために休んでもいいですし、奥さんがママ友ランチに参加する日の子守のために休んでもオーケーです。