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私のリーダー論

挑戦する社員のためには、2000万円くらい捨てていい タニタ 谷田千里社長(下)

2019/8/1

――最近はインターネットで小口資金を募るクラウドファンディングを活用して、ゲーム周辺機器を製作する新たなプロジェクトも始めました。

「プロジェクトマネジメントは、社員からフリーランスに転じたばかりの女性メンバーに任せました 。実は1回目のクラウドファンディングでは、目標額に足りずに失敗。2回目は成立はしたのですが、必要な額の見積もりを間違って 、赤字になってしまいました。ミスに気づいた本人と上司が真っ青な顔をして謝りに来ましたが、幸い、2回目でニーズが予想以上にあることがわかったので製作台数を増やすことにし、彼女には『赤字の責任はミスを見逃した上司と社長である自分にある。3回目で一発逆転すればいい。頑張れ』とはっぱをかけました」

「3回目のチャレンジでは『目標金額まであと一歩』という最終局面で、最後のお願いをする動画を制作することになりました。その際、彼女は全くこれまで興味がなかった層を開拓しようとしていたのに対し、私は『興味は十分にあるが、迷っている人』をターゲットにしたほうがいいとアドバイスしました。さらに、どういう言葉が迷っている人の背中を押すのか、実際に私自身が動画に出演してやってみせました」

谷田千里 タニタ社長

「結果的に3回目のチャレンジは成功しました。やはりリーダーは座って指示を出しているだけではダメなのです。普段は静かに見守りつつ、ここぞというときに、見本を示せなくてはいけない。この人の下で学びたい、働きたいと思ってもらえるリーダーでなくては、いる意味はありません」

――ご自身はまだ40歳代ですが、後継者の条件についてはどのように考えていますか。

「私は創業家出身なのでそれ以外のことはわかりませんし、組織によってどういう人がいいかは一概にはいえないと思います。ただ、サラリーマン社長であっても、自分の任期さえよければいいと考えるのではなく、長期的な視点を持つことは必須でしょう。二代目、三代目が継ぐケースについては、親のやり方にブツブツ文句を言っているだけでは、リーダーにはなれません。その立場にならなければ学べないことはいっぱいあります。親が元気なうちが一番です。タイミングを迷っているなら『今でしょ』と言いたいですね」

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谷田千里
1972年生まれ。97年佐賀大学理工学部卒業。アミューズメント関連会社、船井総合研究所を経て2001年タニタ入社。05年タニタアメリカ取締役、08年から現職。

(ライター 石臥薫子)

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タニタの働き方革命

著者 :
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,650円 (税込み)

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