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私のリーダー論

挑戦する社員のためには、2000万円くらい捨てていい タニタ 谷田千里社長(下)

2019/8/1

「とにかく新しいことにチャレンジする風土をつくらなくてはならない。そのためには私自身が、自ら動き、範を示すリーダーでなくてはならないと考えました。最初に取り組んだのは、当時まだ目新しかった動画投稿サイト『ニコニコ動画』をマーケティングツールとして活用するプロジェクトです。入社間もない若い社員と二人三脚で軌道に乗せました。そして2012年につくったのが『タニタ食堂』 です。10年に出したレシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』がヒットし、実際に食べてみたいと本社を訪ねて来られるお客様が増えていたので、どうせなら食堂をつくったら面白いのではないかと考えました」

米現地法人勤務時代の谷田氏。この頃の上司が自身のリーダー像のモデルに

「しかし社内では、メーカーなのに飲食業に進出するなんてとんでもないと反対の嵐です。でも私は社長として失敗するなら早めがいいと考え、思い切りました。結果的には国内に31店舗を数えるまでうまくいき、社内の雰囲気も変わったと思います。ただ、その後もなかなか社員の中から新たなチャレンジをしようという動きは出てきませんでした」

「そこで社内風土を変えようと『経営基本方針2015』を作り 、1番目に『私たちは、変化を是とし、変化をたたえ主導する企業であり続けます』という方針を掲げました。今どきはやらない手法かもしれませんが、朝礼や会議が始まる時に、これを参加者で唱和する習慣も始めました。やはり、マインドセットを変えるには、ある種の『刷り込み』も大事だと思います」

■失敗を許容する覚悟 2000万円くらい損しても構わない

――失敗を恐れる社員を鼓舞するには何が必要ですか。

「リーダーとして、失敗を許容する覚悟です。就任2年目で過労で倒れたこともあり、やはりもっと現場に任せて、社員自身の成長を支援しなくてはダメだと気づきました。その頃から、社員が何かにチャレンジして失敗して計画が1年遅れになろうと、2000万円の損失が出ようと『構わない』と受け入れることができるようになりました 。失敗することがわかっていても、あえて口出しはしません。失敗すれば本人は落ち込みますし、多額の損が出れば恐縮しきりですが、そこで『あなたは今回頑張ったよね。失敗の原因もわかったよね。だったら次にまた頑張ればいいじゃん』と言えるようになりました」

「もちろん損失が億単位になればさすがに影響が大きいのでガミガミ口を挟みますよ。でも、本気で育てたいと思う社員の失敗は許容する。その心意気が重要です。失敗を糧に彼らが一段上のスキルをつけることができれば、次からはもっと重要な仕事を任せられるようになります。そうすれば私自身もラクになる。コストを払う価値は十分にあると思います」

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