週3回の「筋肉貯金」 下腹・お尻・太ももを引き締め

日経ヘルス

美と健康を約束する筋肉貯金をいま始めるべき理由

美肌、骨粗しょう症予防、冷え改善など、筋肉貯金をすると、特に40代以降の女性にとってありがたい効果がいくつも明らかになっている。

●認知機能を改善する

筋トレ後は、脳の海馬の中のBDNF(脳由来神経栄養因子)が増える。BDNFは、情動のコントロールや摂食行動の抑制、糖代謝を制御するなどの働きが報告されている。脳機能が高まることから、認知症を予防する可能性が示唆されている。

●顔のシミを防ぐ

ポーラ化成工業研究所が40代の女性79人を対象に行った調査で、体重あたりの下半身と体幹の筋肉量が多い人のほうが、シミが少ないことが明らかになった。

そのうち、体重あたりの筋肉量が多い人(平均68%)と少ない人(平均55%)それぞれ11人ずつについて、顔のシミの個数を調べたところ、筋肉量が多い人の平均が86個で、少ない人の平均133個と比べて大幅に少なかった。

その立役者は、筋肉を使うことで分泌される、マイオネクチンというホルモン様物質。昨年、名古屋大学の研究で、心臓の筋肉を保護して、心筋梗塞などを予防するという報告があった物質だ。「筋肉から分泌されるマイオネクチンが、皮膚で美白作用を持つことがわかった」(ポーラ化成工業研究員の錦織 秀さん)。

データ:ポーラ化成工業研究所、2018年発表 ※1 筋肉量の相対値 ※2 VISIA Evolutionによる測定値(左右の頬の平均値)
●冷えを改善する

体の熱産生の主役は、筋肉の中にある。UCP3というたんぱく質は、筋トレで増える速筋線維に多く含まれ、動かなくても熱を生み出す。また、2010年に筋肉中に発見されたサルコリピンは、褐色脂肪細胞がなくても熱をつくり、体の中心部の体温を維持する筋たんぱく質として注目されている。

●体脂肪をつきにくくして生活習慣病を防ぐ

やせた女性で、筋肉が少ないほど高血糖になるリスクが高いという2018年の順天堂大学の報告がある。やせた若い女性と閉経後の女性を比較すると、筋肉量が少ない人、筋細胞内に脂肪が多い人ほど、血糖値が高いことが明らかになったという。

●骨を強くする

筋トレで筋肉に負荷がかかると、骨にもその力が伝わる。骨は、「骨を作る細胞」と「壊す細胞」によって絶えず代謝している。筋トレで骨が引っ張られるなどして衝撃がかかると、骨を作る細胞が活性化する。

シミ、骨やせ、冷えも解決!?「筋肉貯金」は、たるまない、太らないだけじゃない

筋トレの効率を高めて、いまのうちからどんどん蓄えを増やしておきたい「筋肉貯金」。たるみや肥満予防以外にも、“貯筋”すべき理由はたくさんある。

これまで筋トレは、たるみ予防やダイエット、体力向上などが目的だったかもしれない。最近になって、筋肉から分泌されるホルモン様物質が肝臓や脳、そして皮膚といった体の離れた部位へも働きかけて、下支えしていることがわかってきた。「筋肉貯金」で得られる、女性にとってうれしい健康、美容効果の一部だ。女性でも筋肉貯金はしなきゃもったいない!と思えるはず。

筋トレの新常識によって、女性や高齢者でも、低めの負荷で無理なく確実に筋肉貯金は増やせることがわかった。ただし「それにはコツをしっかり押さえることが必要。また、鍛えたいところの筋肉を的確に使えるかどうかがポイントだ」と、石井さんはいう。その主なコツをまとめた。さあ、みんなで筋肉貯金を始めよう。筋肉は、裏切らない!

石井直方さん
東京大学大学院教授。理学博士。専門は運動生理学、トレーニング科学。力学的環境に対する骨格筋のメカニズム、筋力トレーニングの方法論、老化防止などについて研究。『石井直方の筋肉の科学』(ベースボールマガジン社)など著書多数。
谷本道哉さん
近畿大学生物理工学部准教授。1972年、静岡県生まれ。大阪大学工学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は筋生理学、トレーニング科学。近著に『すごい筋肉貯金』(宝島社)。

(取材・文 西山裕子=日経ヘルス編集部、写真 鈴木 宏=モデル、スタジオキャスパ─=静物、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 千葉智子=ロッセット、モデル 島村まみ、グラフ 増田真一)

[日経ヘルス 2019年4月号の記事を再構成]

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