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宇和海の幸が育んだ志、米国から福島へ 岩村明憲さん

食の履歴書

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NIKKEI STYLE

プロの野球選手として、日米で活躍した岩村明憲さん(40)。メジャーリーガーにも力負けしなかった強靱(きょうじん)な肉体を育んだのは故郷、愛媛県宇和島市の海でとれた魚だった。福島で独立リーグのチームを指揮する今は、地場の豊かな食文化を堪能している。

おやつ代わりに煮干し

子どものころ食卓に並んだのはマグロの若魚ヨコの刺し身か、カツオのたたき。豊後水道の四国側の海域である宇和海では、新鮮な海の幸がふんだんにとれる。「切り身ひとつで、ご飯を3口か4口は食べられた」。もちろん肉も好きだったが、ご飯のともは魚だった。

「テーブルの上に煮干しがあるよ」。祖母からは、おやつ代わりに徳用袋に入った小魚を食べさせてもらった。少し大きくなると、自ら近くの海でアジやタイを釣り、さばいていたという。「生粋の宇和島っ子」として、幼いころから口にしていた魚が「血となり、骨となり、筋肉を作る土台になった」。

15歳からは地元の宇和島東高で野球に打ち込む。猛練習をこなすため「どれだけ食べても追いつかなかった。とにかく質よりも量だった」。学校に持っていく弁当も超特大。ぎゅうぎゅうに詰め込まれたコメを、野菜が多めの筑前煮と一緒に平らげた。

当時の身長は175センチ、体重は77キロ。プロ選手のときよりは細身だが、「あのころに土台となる体ができた」。メジャーリーグで大柄な外国人選手に交じって勝負できたのも「母が毎日作ってくれたバランスの良い食事のおかげ。今でも感謝している」と振り返る。

プロに入っても食細らず

1997年にドラフト2位でヤクルトに入団した。当時の八重樫幸雄2軍監督からは「1軍で活躍できるのは夏に強い選手。夏にしっかりご飯を食べられる選手」と言われた。その言葉通り、プロで食が細くなることはなく、「筋肉はさらに大きくなった」。

2001年にセ・リーグ優勝に貢献し、04年からは3年連続で打率3割、30本塁打を達成した。ナイターが終わった後は外食がほとんどだったが、「肉だけでなく野菜をとることを意識していた」ことも打撃を支えた。

07年からは、活躍の場を米国に移し、タンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)でワールドシリーズにも出場した。居を構えたフロリダでは、近所のスポーツバーで食事を済ませることが多かった。よく注文したのはバッファローウイング。鶏の手羽肉を素揚げにした米国の伝統料理で、香辛料が非常にきいている。「郷に入れば郷に従え。食生活を含め文化を受け入れた方が生活しやすい」と考えた。

メジャーリーグでの食事は「外れではないけれど、決して良いとはいえなかった」。チームのクラブハウスに並ぶのは、ステーキなどケータリングの大皿料理。どうしても手が伸びないときは、街中の中華料理店からチャーハンなどを持ち帰って球場で食べた。「中華ならばどこにでもある。コメを食べられればよしとしていた」。たくましさの源はやはりコメだった。

被災者のストレス和らげたい

11年に日本に戻り、楽天とヤクルトでプレーした後、15年に独立リーグの福島ホープス(郡山市、現レッドホープス)に入団した。まったく縁のなかった福島からの誘いに「これも運命なのかな」と感じたのは、楽天在籍中の東日本大震災の記憶が消えないからだ。

「言葉が出ない。でも、それが現実」。発生は兵庫県明石市でのオープン戦の最中で、本拠の仙台に戻れたのはそれから約1カ月後だった。山形空港からのバスの車窓から見える光景に、選手たちは言葉を失った。

福島に来て3年目に現役は引退したが、その翌年には監督に加えて球団運営会社の社長にも就任した。自分たちができるのは、地元に人にプレーで一喜一憂してもらうことだという。「ストレスを忘れられる時間をつくることが、スポーツの力ではないか」

楽しみの一つは食事。常磐沖の底引き網漁でとれたメヒカリ、熊本に次ぐ生産量を誇る馬肉、県内でも産地によって味が異なるモモ――。「海のものも、山のものもおいしい」。一方で「食文化の豊さについて知っている人は知っている。それだけに、風評被害は心苦しい」とこぼす。

20年の東京五輪では、野球・ソフトボールの試合が、福島で開催される。「一人でも多くの人に福島に来てもらい、福島のものを手に取ってもらいたい」。逆境に立ち向かいながら挑戦を続けてきた自らの道のりを、被災地の復興に重ねる。

福島の「食の幸」ふんだんに

福島に本拠を移した岩村さんが週に4日は訪れるのが、JR郡山駅前の日本料理店「美味口福 いち井」(電話024・927・7739)だ。

親方・渡辺修一さんのお薦めは会津のワラビのおひたし(税抜き650円)、いわきのウニ(同1800円)、郡山のエゴマ豚の味噌漬け焼き(同1500円)など、地元の素材を使った料理。岩村さんが席に座ると、注文を待たずに「素材の良さを引き出すためにひと手間かけた」一品を出す。

岩村さんによれば、親方は「おいしいものがあると聞くとすぐに食べに行く、向上心のある人」。岩村さんの故郷、愛媛県宇和島市を一緒に旅したこともある。会津のコシヒカリのおにぎりに、宇和島名物の削りかまぼこをまぶすといった心遣いも、岩村さんが足しげく通う理由になっているようだ。

最後の晩餐

肉ではなく、やはり魚ですね。最後というわけではないけれど、飛行機で海外に行く前には、必ず日本の空港で寿司を食べます。メジャーリーグのときもそうでした。ネタにはこだわらずに握りを一通り食べた後、トロとたくあんの巻物でしめるコースです。

(伊藤新時)

[NIKKEIプラス1 2019年7月27日付]

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