リーマン級調整が来たら「買うだけよ」(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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世界景気の先行きに不透明感が増してきたとかで、マーケットは警戒感を強めている。『日経マネー』のみならず、マスコミはこの件で大騒ぎをしたいようだが、我々長期投資家にとっては何ということはない。「大きく下がったら、買うだけよ」と受け流すだけさ。

今回は、リーマン・ショック並みの調整が入った時、何をなすべきか、草刈と話し合ってみよう。

大きな調整はあっておかしくない

澤上篤人(以下、澤上) リーマン・ショック以降、日銀をはじめとする先進国の中央銀行は「金融市場の安定」を名分にして、史上空前の資金供給を行ってきた。その結果、各国中銀のバランスシートは平常時の4~5倍に膨れ上がっている。

大量のお金をバラまいて辛うじて3%前後の成長を維持している。それが今の世界景気の実態だよ。いわばハリボテ、中身のない好景気である。

草刈貴弘(以下、草刈) MMT(※)なんていうとんでもない理論も出てきましたね。自国通貨を発行し、自国通貨建てで国債を発行できている国は、財政赤字を気にすることなく歳出を拡大できる。唯一の制約がインフレ。しかも日本が成功例とされているのにも驚きです。

※Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)。米ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が提唱。自国通貨発行権を持つ国は債務返済に充てる貨幣を自由に創出できるため、物価の急上昇が起こらない限り、財政赤字が大きくなっても問題ないと説く

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 そんな綱渡りをしている世界経済に、保護主義や自国優先の関税引き上げのようなやいばを付きつきけると、どうなるか。マーケットは臆病者で、いつも過剰な反応をしたがる。どこかでドスーンと暴落して、売りが殺到するような事態はこの先、十分起こり得る。

草刈 今回の米中対立は根が深いですからね。イデオロギーの対立でもなければ、経済的対立でもない。覇権争いです。両雄並び立たずという争いなので、どう転んでも両国とも深い傷を負うでしょうし、必ず周辺にも累は及びます。

なかなか終わりも見えないので、市場参加者は「取りあえず現金か貴金属にでも逃げておこう」と考える。しかも皆が誰よりも早く、よい時期に逃げようとするから、椅子取りゲームのように、残りの椅子を狙って市場はバタバタ、しまいには大崩れということになりかねません。

長期投資家の真骨頂を見せよう

澤上 2008年9月のリーマン・ショックの時もそうだった。売り逃げが集中すると、すさまじい下げとなる。それは当たり前のこと。売ることしか頭にない投資家ばかりで買い手がいないのだからね。

そういった売り一色のマーケットでも、我々長期投資家は冷静そのものさ。平然と安値の買い仕込みを進める。いや、むしろ「もっともっと買いたいのに資金が足りない!」と叫びたくなる。