老後資金作りに不可欠 イデコやNISA口座開設が急増老後のお金 100年の計(4)

個人型確定拠出年金(イデコ)経由で投資家のすそ野が広がっている。
個人型確定拠出年金(イデコ)経由で投資家のすそ野が広がっている。

老後資産を十分に確保するには自助努力が欠かせない。資産形成に活用したいのが税制優遇のある確定拠出年金(DC)や少額投資非課税制度(NISA)だ。運用で得た利益に税金がかからず、DCには掛け金が所得から控除されるメリットがある。企業型DCには5人に1人が加入するなど利用が広がりつつある。

厚生労働省によると、企業型DCの加入者(速報値)は今年4月末時点で715万人と前月比約28万人増え、対象となる会社員の2割近くを占めた。4月は新入社員の加入という季節要因もあるが、制度を導入する企業の数は右肩上がりで増えている。

2017年に対象が公務員や専業主婦に広がった個人型DC(iDeCo、イデコ)でも加入者は5月末で125万人となり、増加傾向が続いている。

いずれも運用益は非課税で、受け取るときに一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が適用される。イデコは掛け金も全額、所得控除の対象だ。企業型DCは掛け金を負担するのが原則、企業なのでわかりにくいが、掛け金分を給与としてもらうと課税対象となるため、やはり税制メリットがある。

節税効果をイデコで見てみると、例えば企業年金のない会社員が掛け金を月2万3000円の上限額まで拠出する場合、所得税率が20%であれば年間5万5200円を節税できる。

14年に始まったNISAは18年12月末に口座数が1150万を超えた。運用益の非課税枠は16年に年100万円から120万円に拡大し、23年まで優遇装置を受けられる。18年開始の積み立て型の「つみたてNISA」の口座数は103万、年40万円を上限に37年まで投資できる。口座は両方開けるが同じ年に両方へ投資できないため、実質的には1つに絞られる。

「老後資金2000万円」問題を受けて、NISAやつみたてNISA、イデコの口座を新規に開設する動きが出ており、楽天証券では6月に新規契約の申し込みがいずれも前月の2倍となった。最大手のSBI証券でもイデコが55%増、つみたてNISAが45%増と伸びが顕著だった。

確定拠出年金教育協会(東京・中央)の大江加代理事は「DCとNISAは併用するのが効果的」と話す。例えばイデコは60歳まで引き出せない。急な資金需要がありそうな人は一部をつみたてNISAに回すなど「無理に上限まで拠出せず資金計画に沿って運用すること」と助言する。

NISAは時限措置のため恒久化を求める声があり、イデコでも拠出できる年齢を60歳から65歳へ延長することが検討されている。足元の節税効果が注目されがちだが、長期の資産運用の手段として活用したい。

(成瀬美和)

[日本経済新聞朝刊2019年7月20日付]

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