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梅雨疲れからの夏バテにご用心 「うつ」招くことも

こちら「メンタル産業医」相談室(35)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

多くの地域で、ようやく待ち望んでいた太陽が戻ってきました。あなたの心と体はお元気ですか?こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

さて私は現在18社の嘱託産業医をしていますが、体調不良を理由に遅刻や欠勤が増えるなど勤怠不良になる社員が、梅雨時期から盛夏にかけて徐々に増えていきます。

「体が重だるい」「食欲がない」…… その原因は?

会社からの依頼で産業医面談をすると、

「体が重だるくて仕方がない」

「食欲が落ちて、きちんと食事が食べられない」

「胃腸の不調がこのところ続いている

(胃のもたれ、吐き気、下痢、便秘、腹痛、おなかのハリなど)」

といった症状を訴える人に頻繁に遭遇します。

そしてその中には、

「睡眠が十分にとれない

(寝つきが悪い、または夜中に何度も起きてしまう)」

「頭痛がひどくて仕事に来られない」

「体がふらふらして、めまいのような感じがする」

といった、不眠や強い身体不調にまで進んでしまっている人もいます。

さらにこうした症状に加え、

「何もする気がしない」

「頭がボーっとして仕事に身が入らない」

「毎日憂うつで人と話したくない」

などとメンタル不調の症状を呈している人も少なくありません。

こうした一連の症状は、6月から8月にかけて続く日本独特の高温多湿で不快度の高い夏のストレスによって発生する自律神経失調状態(自律神経系の乱れによって起こる症状)であることが非常に多いのです。

特に今年の梅雨は、蒸し暑いかと思えば肌寒くなるなど、気温も天候も変動が大きかったため、自律神経系に負担がかかっています。多くの人が例年より夏バテになりやすくなっていますので、要注意です。

ちなみにこの「夏バテ」と呼ばれる、猛暑の時期に食欲が低下して寝苦しくなり、体が重だるくなって気力や体力が落ちる状態も、医学的に説明すると自律神経失調状態です。まずは自律神経系の働きについて簡単に説明しましょう。

自律神経が疲れ果ててしまうのが「夏バテ」

自律神経系は交感神経と副交感神経に分かれ、双方が絶妙なバランスで切り替わりながら常に体の内部環境を一定にするように働いています。日中には交感神経が優位となり、血圧や脈拍を上げ、胃腸の動きを減らして筋肉を緊張させ体を活動状態にします。日が暮れて夜になると副交感神経が優位となり、血圧や脈拍を下げて筋肉を弛緩(しかん)させて体をリラックス状態にしつつ、胃腸の動きを高め食物の消化吸収を促します。

また自律神経系は気温の変化に応じて、血流や発汗を調節して体温を一定に保つ働きも担っています。暑いときは体の表面に近い細い血管を大きく拡張させて血流を増やしたり発汗させたりすることで、体内の熱を体の外へ逃がして体温が上がらないように調節します。逆に、寒いときには血管を縮めて血流を減らすことで、できるだけ熱が体外へ逃げないように調節します。

このように自律神経系は、体を外界の変化に上手に適応させつつ体内環境を一定に保つために日夜不休で頑張ってくれているマルチでスーパーな神経系です。いわば体全体の統括マネジャーと言ったところでしょうか。

その自律神経系が盛夏の時期に酷使されて疲れ果ててしまうのが、夏バテです。

真夏の高温多湿の環境に体を適応させるだけでも大変なのに、特に近年は屋外が高温になるとともに屋内ではエアコンをガンガン稼働させるために激しい気温差が発生します。1日に何度も発生するこの気温差に体内環境を適応させなければならないために、自律神経が疲れ果ててしまい交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、自律神経系のバランスがどんどん崩れていくのです。

その結果、自律神経系が支配している臓器でも不調が発生し、胃腸の不調や食欲不振、睡眠障害、めまい、抑うつなど様々な症状が起こってくるのです。

近年、地球温暖化の影響を受け、日本の平均気温はどんどん上昇してきています。気象庁によると、特に1990年代以降、高温となる年が頻繁にあり、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)が増えています。

当然ながら日本の夏期(6~9月)の平均気温も上昇傾向にあり、一昔前に比べて梅雨はより蒸し暑く不快になり、真夏は酷暑の日々が9月に入っても続くため、夏バテ(夏期の自律神経失調症)になる危険性も、前倒しになるとともに長期化しているといえるでしょう。

加えてインターネット、スマホの普及によって、現代の働く人の毎日のONとOFFの区別は限りなく希薄化しており、夜になってもデジタル機器からのブルーライトを浴びながら仕事を続けたり、夜遅くまでSNSやゲームに興じたりする人が激増しています。そのため多くの現代人の自律神経系は普段から疲労気味となり、予備能力が低下しているのです。そんな中、6~7月頃から不快な高温多湿な気候が発生するため、真夏を待たずして自律神経失調状態になる人が一昔前に比べて増えているのだと思います。

自律神経系の不調が悪化するほどに、睡眠が十分にとれなくなり、胃腸の調子も乱れて体全体が重だるくなるので、当然ながら脳の疲労回復も滞り、気力低下や抑うつといったメンタル不調も発生しやすくなります。ネットや雑誌の記事などでは数年前から「梅雨うつ」「夏うつ」などの文字が頻繁に見られるようになりましたが、これらも、不快な夏の気候(梅雨も含む)がベースとなって発生する自律神経失調状態が重症化してメンタルにも及んだ結果といえるでしょう。

さて今年の梅雨も高温多湿でムシムシのひどい日々が続きました。また関東地方から東北にかけては、最高気温が25℃以下になる「梅雨寒(つゆざむ)」と呼ばれる日も例年より多く発生しました。こうした一時的に発生する梅雨時期の気まぐれな気温差も、自律神経系が疲労する原因となります。

今まで夏バテ知らずで夏を乗り越えてきた人も、気付かぬうちに自律神経系に疲れがたまっている可能性がありますので、これから迎える酷暑時期に備え、ぜひ自律神経系をこれ以上疲れさせないためのセルフケアを心がけていきましょう。

ここでは夏バテ・夏うつを予防するための基本のケア法を4つご紹介したいと思います。

ケア1「睡眠をとにかく十分にしっかりとる」

自律神経系の中枢は脳にあります。脳の疲労回復の基本はもちろん睡眠です。最低でも6~7時間以上、心身の疲労を感じる時はさらにプラスして十分な睡眠をとりましょう。ただし細切れ睡眠はNGです。夜に6時間以上連続して眠ることで、脳や体はフルメンテナンスを完了することができますので、昼寝や通勤時間のうたた寝を入れての6時間睡眠ではなく、夜に連続して6時間以上眠ることを心がけてください。

暑くて寝苦しい夜は、エアコンのお休みモードを上手に活用して部屋の温度を適温に調整しましょう。エアコンを一晩中かけるのが苦手な人は、眠る1~2時間前ぐらいからエアコンを稼働させて部屋の壁の熱をとっておくと、エアコンを切ったあとも部屋の温度が上昇しにくくなります。また眠る場所を東や南側の窓や壁から遠ざけ、北側にすると明け方の気温上昇の影響を受けにくくなります。

また寝つきを悪くするスマホやパソコンのブルーライトは眠る1時間以上前から見ない、熟睡を阻害するアルコールは寝る直前に飲まないなど、良眠を得るための生活習慣も心がけてください。既に寝つきに1時間以上かかる、夜中や早朝に何度も目覚めて熟睡できないといった睡眠障害の症状が週に複数回出現しているという人は、心療内科や精神科、睡眠外来などで相談してください。不眠症状を放置すると、ほぼ確実にメンタルもダウンしてきます。

ケア2「動物性たんぱく質、ビタミン、ミネラルを不足させない」

夏バテが悪化する一つの原因に、あっさりしたざるそばやそうめんなどで食事を済ませがちになるため、体力や疲労回復の基本となるたんぱく質(アミノ酸)が不足することが挙げられます。肉、魚、卵には、バランスのよいたんぱく質と疲労回復物質がたっぷり含まれているので、暑い時期こそ積極的に食べましょう(沖縄料理やエスニック料理は、豚肉や鶏肉が多用されているのでお勧めです)。

たんぱく質の代謝を高めるためには、ビタミンやミネラルが欠かせないので、緑黄色野菜を中心とした野菜類、海藻類、果物などとともに食べることがコツです。ゴーヤチャンプルー、冷しゃぶ、バンバンジー、夏野菜と肉がたっぷり入ったカレー、お刺身サラダやカルパッチョなど、夏期でも食べやすそうな料理を工夫してしっかりと栄養を摂取しましょう。

ちなみにセロトニン、メラトニンなどメンタルや睡眠に関連する脳内物質もすべてたんぱく質が主原料になっているため、たんぱく質不足はメンタルダウンも加速させてしまいます。1日に最低2食は、しっかりとたんぱく質のメインディッシュがある食事をとるように心がけてください。

ケア3「体の冷えを予防し、外界との温度差に注意する」

先述したように夏期に自律神経系の疲れが加速する大きな原因が、気温差。特に現代は温暖化で外はより暑く、エアコンの普及でオフィスや電車内はより冷え過ぎとなり、極端な気温差が1日に何度も発生するため自律神経系が悲鳴を上げています。

オフィスの温度は、実測値で26~27℃程度に保ち冷え過ぎないように。暑がりの社員が勝手にエアコンの温度を下げてオフィスがキンキンに冷えてしまっている会社では、冷えに弱い女性社員に体調不良者が続出します。エアコンの温度設定は総務や衛生委員が行うルールにして各部屋に温度計を設置し、実測値に基づいてエアコンの温度を調節するようにしたほうがよいでしょう(お勧めは実測値で26~27℃あたりです)。暑がりの人には個人用扇風機などを利用してもらい、部屋全体が冷え過ぎないようにすることが大切です。

自宅でもエアコンの効き過ぎに十分に注意して、眠るときには温度調節を忘れずに。眠ると体温が下がって冷えやすくなるため、起きているときよりも高めの温度設定になるようにセットしてください。また食事や飲み物も、暑いからといって冷たい物ばかりでは体の芯が冷えてしまいます。温かな料理やスープを食事のメニューに一品は加えて、胃腸を冷やし過ぎないようにしましょう。

ケア4「激しい運動・仕事は控えめにして、リラックスタイムを増やす」

体を激しく動かしたり深夜まで仕事したりしていると、全身の細胞から疲労因子(Fatigue Factor)が発生し、疲労を引き起こすことが分かっています(東京慈恵会医科大学・近藤一博教授らの研究グループによる)。これから猛暑が本格化するためより肉体が疲労しやすく、かつ熱中症になりやすい環境となります。激しい運動やレジャーは控えめにして疲労因子を多量に発生させないように心がけ、適度な有酸素運動(歩行、サイクリング、水泳など)で、疲れない程度に体を動かすほうが安全です。また運動やレジャーの後は、普段より入念に休息や睡眠時間を確保して疲労をケアするようにしてください。

残業もこの時期はできるだけ控えめにして、不必要な飲み会などは断り、平日にはできるだけ早く帰宅してリラックスできる時間と睡眠を確保するように心がけてください。とにかくこれからの夏場は心身ともに疲労が蓄積しないように心がけ、普段よりリラックスタイムを増やしながら、交感神経と副交感神経の切り替えをしっかり意識した規則正しい生活を心がけていきましょう。

以上、夏バテ・夏うつ対策として参考にしてください。高温多湿の日本の長い夏を、ビジネスパーソンの皆さんが元気に乗り切れるよう願っています。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内18カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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