梅雨疲れからの夏バテにご用心 「うつ」招くこともこちら「メンタル産業医」相談室(35)

日経Gooday

たんぱく質の代謝を高めるためには、ビタミンやミネラルが欠かせないので、緑黄色野菜を中心とした野菜類、海藻類、果物などとともに食べることがコツです。ゴーヤチャンプルー、冷しゃぶ、バンバンジー、夏野菜と肉がたっぷり入ったカレー、お刺身サラダやカルパッチョなど、夏期でも食べやすそうな料理を工夫してしっかりと栄養を摂取しましょう。

ちなみにセロトニン、メラトニンなどメンタルや睡眠に関連する脳内物質もすべてたんぱく質が主原料になっているため、たんぱく質不足はメンタルダウンも加速させてしまいます。1日に最低2食は、しっかりとたんぱく質のメインディッシュがある食事をとるように心がけてください。

ケア3「体の冷えを予防し、外界との温度差に注意する」

エアコンの効き過ぎには注意を。写真はイメージ=(c) scyther5 -123RF

先述したように夏期に自律神経系の疲れが加速する大きな原因が、気温差。特に現代は温暖化で外はより暑く、エアコンの普及でオフィスや電車内はより冷え過ぎとなり、極端な気温差が1日に何度も発生するため自律神経系が悲鳴を上げています。

オフィスの温度は、実測値で26~27℃程度に保ち冷え過ぎないように。暑がりの社員が勝手にエアコンの温度を下げてオフィスがキンキンに冷えてしまっている会社では、冷えに弱い女性社員に体調不良者が続出します。エアコンの温度設定は総務や衛生委員が行うルールにして各部屋に温度計を設置し、実測値に基づいてエアコンの温度を調節するようにしたほうがよいでしょう(お勧めは実測値で26~27℃あたりです)。暑がりの人には個人用扇風機などを利用してもらい、部屋全体が冷え過ぎないようにすることが大切です。

自宅でもエアコンの効き過ぎに十分に注意して、眠るときには温度調節を忘れずに。眠ると体温が下がって冷えやすくなるため、起きているときよりも高めの温度設定になるようにセットしてください。また食事や飲み物も、暑いからといって冷たい物ばかりでは体の芯が冷えてしまいます。温かな料理やスープを食事のメニューに一品は加えて、胃腸を冷やし過ぎないようにしましょう。

ケア4「激しい運動・仕事は控えめにして、リラックスタイムを増やす」

体を激しく動かしたり深夜まで仕事したりしていると、全身の細胞から疲労因子(Fatigue Factor)が発生し、疲労を引き起こすことが分かっています(東京慈恵会医科大学・近藤一博教授らの研究グループによる)。これから猛暑が本格化するためより肉体が疲労しやすく、かつ熱中症になりやすい環境となります。激しい運動やレジャーは控えめにして疲労因子を多量に発生させないように心がけ、適度な有酸素運動(歩行、サイクリング、水泳など)で、疲れない程度に体を動かすほうが安全です。また運動やレジャーの後は、普段より入念に休息や睡眠時間を確保して疲労をケアするようにしてください。

残業もこの時期はできるだけ控えめにして、不必要な飲み会などは断り、平日にはできるだけ早く帰宅してリラックスできる時間と睡眠を確保するように心がけてください。とにかくこれからの夏場は心身ともに疲労が蓄積しないように心がけ、普段よりリラックスタイムを増やしながら、交感神経と副交感神経の切り替えをしっかり意識した規則正しい生活を心がけていきましょう。

以上、夏バテ・夏うつ対策として参考にしてください。高温多湿の日本の長い夏を、ビジネスパーソンの皆さんが元気に乗り切れるよう願っています。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内18カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。
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