5%増か、5万円増か 数字の使い方で仕事は速くなる
堀口智之著『デキる大人になるレシピ 明日の会議ですぐ効く 伝わる数字の使い方』
数字や計算の基本を「ビジネスに生かす」という観点から見直す
「数字の使い方」に自信がある、と言い切れる人はどのくらいいるだろうか? ビジネスシーンで欠かせない「数字」だが、その使い方・考え方は、学校で教わった算数や数学とはまた別のものだ。今回の書籍『デキる大人になるレシピ 明日の会議ですぐ効く 伝わる数字の使い方』は、仕事に生かせる数字の使い方を、イラストと図を用いながら分かりやすく紹介している。
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堀口智之氏
著者の堀口智之さんは1984年生まれ。山形大学物理学科卒業後の2010年、大人のための数学教室「和」(なごみ)を創業しました。社会人向けの数学・統計学を教える教室を、東京・大阪で全国5教室を展開。また、数字力を高めるセミナーを開催するなど、数学の価値や面白さを多くの人に広める活動もしています。
ビジネスでは"ざっくり把握"でいい
質問です。「100,000,000」という数をパッと読めますか? 一の位から「一、十、百、千、万、十万……」と数えてしまった人もいるのではないでしょうか。でもこれは、「カンマを利用して読む」というコツを身に付けると、スムーズに「1億」と読むことができます。本書では、このように基礎的で身近な、社会人が身に付けておくべき数字に関するリテラシーを取り上げています。
その一つに、「ざっくりと把握する」というスキルがあります。そもそも私たちは日常生活やビジネスの場で、数字をざっくりと捉え、判断するということを繰り返しています。例えば、売り上げ目標が「100 万円」であるとき、達成した売り上げが「97万円」と「97万1円」では、捉え方に違いはあるでしょうか? ないですよね。100 万円に対しての1円について、私たちはほとんどどうでもよいと感じます。「約97万円」と数字を大まかに理解することで、数に対しての判断力を養っていくのです。
このようにビジネスでは、一の位まで厳密に数字を把握するのではなく、「ポイントをつかむ読み方」をすれば十分、という場面があります。もし明日の会議の資料に「売上高 824,503,991 円」と書かれていたら、「8億2450万3991……」と一の位まで読み上げずに、「約8億2450万円」と読み進めても、おそらく支障はないでしょう。
そして著者はその意義を次のように解説しています。
(「"ざっくり把握"の重要性」 39ページ)
「苦手」や「つまずきポイント」に寄り添う
ビジネスで使う数字、と聞くと会計数字や財務諸表の読み方、といった内容を思い浮かべるかもしれません。しかし本書では、社会人として押さえておくべき数字の使い方のスキルや、数学的なものの見方の解説に徹します。それも、「大人のための数学教室」で多くの生徒を教え、ビジネスシーンでの頻出事項や生徒の「苦手」を熟知している著者だからこそ、つまずきやすいポイントを丁寧に説明しています。