おしゃれさか使いやすさか タイプ別テントの選び方
夏から秋にかけてはアウトドアのレジャーが楽しい季節だ。キャンプや水遊び、バーベキューなどのレジャーで活躍するのがテント。テント泊向けはもちろんのこと、日帰りのレジャーでも役に立つ。ここでは、簡単に設営できて初心者にも扱いやすいものから居住性にこだわった本格派まで、用途に応じてタイプ別にテントを紹介する。
バリエーション豊かなレジャー用テント
テントは、その目的に応じて大きく2つに分けられる。登山やハイキングなどの露営に使う「山岳用テント」と、キャンプ場やバーベキューなどのレジャー用に居住性を重視した「レジャー用テント」だ。山岳用テントは、軽量、コンパクトに収納できるが、居住性は二の次だ。4人用とうたわれるモデルも、寝袋に入った人がぎっしり4人並んで寝られるといった状態。大型のものになると、ベースキャンプで使用される居住性を確保した製品もあるが、高価で個人が持つにはハードルが高いモデルが多い。
キャンプ場で家族連れがよく使用しているレジャー用テントは、設営が簡単なワンタッチテントから、おしゃれなワンポールテント、居住性を重視したドームテントなど様々な形状がある。価格もデザインもバリエーションが豊富で、目的に応じたテントを選ぶのも迷うくらいだ。
定員は人数より多めのものを選ぶ
居住性としては、使用人数+1人くらいで考えると良い。カタログにある収容人数は、寝袋を並べた状態で何人寝れるかというギリギリの数値であることが多いので、3人用とか2~3人用という記載なら、2人が定員と考えるとゆったり使える。
4人家族で使いたい場合には、4~5人用とか5~6人用を選びたい。特に小さい子供がいてテント内で遊びたい、動き回ることが予想されるなどの場合には広いほうが良い。
同じ定員でもレジャー用と山岳用では居住性や重さが大きく異なる。例えばドーム型で同じ3人用として販売しているスノーピーク「アメニティドームS」とMSR「ゾイック3」を比べると、山岳用の「ゾイック3」は、全高が1メートルほどと低く室内も寝るだけのスペースになるが、レジャー用の「アメニティドームS」にはリビングスペースや広い土間(前室)、キャノピーと呼ばれる簡易な屋根など快適に過ごすための設備が備わっている。全高も120センチあり、居住性が高い。
一方、ゾイック3は重さ2450gと軽いが、アメニティドームSは5kgと倍になる。
テントの中には床がないフロアレスタイプもある。イメージとしてはフライ(屋根)のみがあるタイプともいえる。屋根(壁)だけを建てて、室内は地面が見える形式なので、通気性は良いが虫の多い季節や場所だとテント内に侵入してくる。オプションでインナーテント(ハーフ/フルインナー)を用意しているモデルもある。インナーのタイプによって収容人数も変化するので、使いこなしには経験と知識が求められる。迷ったらクローズドタイプ(ドームテントなど一般的なタイプ)が無難だ。
テントの素材にも気を配ろう
現代のテントは多くの場合、ナイロン製の生地に防水加工を施したものが多いが、コットン製やポリコットン(ポリエステルとコットンの混紡、T/Cと略されることが多い)など、昔ながらの素材や、改良された新素材も増えているる。軽量で設営しやすいのはナイロン製だが、たき火などの火の粉に弱い面もある。コットンやポリコットンは、火の粉が飛んできても穴が開きにくい特性があるが、重く、防水性にも限度があるのがトレードオフだ。
手間をかけたくない、設営しやすいなど気軽に始めたい人は、ナイロン製を選ぶと良いだろう。まきストーブを使う冬場のキャンプが多い場合や、雨が少ない時期にキャンプをする場合には、T/C製も一考の余地がある。
以下ではテントのタイプ別にお薦め製品を紹介する。
安価で簡単なワンタッチテント
安価で組み立ても簡単なテント。丸めた状態から放り投げるだけで展開するタイプや、傘のようにひもを引っ張るだけで組み立てられるものなど様々。海水浴などでのパラソル代わりや、着替え用などにも適している。簡単に設置できる一方で、大雨や強風には弱いので、本格的なキャンプには適さない。
Q-TOP フルシェード 200(税別1万500円)
http://www.logos.ne.jp/products/info/2442
クイックアップドーム/W+(税込み1万7476円)
https://ec.coleman.co.jp/item/IS00060N07403.html
ビギナーにお薦めはドーム型テント
今の主流はドーム型テント。多くの場合、インナーテントとフライシート(屋根、雨カバー)によって構成され、大型のものになるとフライが延長されてリビングとして機能するものもある。おわんを伏せたようなタイプから、かまぼこ型まで、バリエーションも豊富だ。
ビギナーで、最初に1つ選ぶならドーム型、フライシートが大きく前室が広くとれるタイプがオススメだ。靴を脱いだり、テント内に置きたくない(外においても良い)アイテムを保管しておいたりするためのスペースがあると雨や野生動物から装備を守ることができ、靴の脱ぎ履きなどもしやすいというわけだ。急な天候の変化にもある程度耐えてくれる。リビングスペースがあるものや、タープでリビングスペースを確保すると食事などのだんらんの際も、雨や日差しを避けることができる。
アメニティドームM(税別3万6800円)
https://ec.snowpeak.co.jp/snowpeak/ja/キャンプ/テント/アメニティドームM/p/121327
おしゃれで人気高いワンポールテント
おしゃれさで人気の、ポール1本で立てることができる三角形のテント。カップルで使うなど、おとなの少人数に向く。見た目のおしゃれさだけでなく、設営も簡単なので、2人の時間を多く取れるかもしれない。
設営は簡単ながら、自立しないので、ペグや綱(ガイライン)を貼る必要がある。センターポールがあるので居住性は若干劣る。
ワンポールテントはフロアレスが多いが、フロアレステントにハーフインナー(床の半分を寝室として使う)を使用する場合には使用人数は半分に減る。
CIRCUS TC BIG(税別4万9800円)
https://www.tent-mark.com/circus_tc_big/
CSクラシックス ワンポールテント オクタゴン460UV(税別6万円)
https://www.captainstag.net/goods_UA-35.html
懐かしいクラッシックタイプテント
昔懐かしい家型のテント。バリエーションとしては、グランピングなどにも使われる大型のテントもこちらに含まれるものもある。他のテントと比較すると設営は大変だが、居住性は抜群。窓があったり出入り口が広いなど、キャンプに慣れない人にもうれしい作りといえる。
ロッジシェルターT/C(税込み17万640円)
https://www.store-campal.co.jp/products/detail.php?product_id=172
グロッケ8(税込み8万4240円)
https://www.store-campal.co.jp/products/detail.php?product_id=113
(ライター 戸津弘貴)
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