老後2000万円、自助努力は先進国共通 未来に仕送り「老後に2000万円」をマネーハック(4)

日本では強制的に加入させる老後資産形成の制度は公的年金のみであり、私的年金は加入を強制されません。英国のNESTや近年の米国の401kは半強制加入の仕組みがあるのと対照的です。公的年金以外に強制的な加入と積み立てを行う老後資産形成の制度として唯一機能しているのは、会社の退職金・企業年金制度ということになります。

退職金制度があって仮に毎月1万円程度の積み立てを会社が強制的にしているとしても、おそらく誰も「生活費を削られている!」とは思わないはずです。むしろ「会社はいいことしてくれるな」と思うはずです。

今回問題意識を持った人はぜひ、iDeCoやつみたてNISAを始め、自動的な積み立てを継続してみてください。目の前の生活がちょっと苦しくなるかもしれませんが、その分確実に老後の豊かさは増していくことになるのです。

「老後に2000万円」騒動を有意義に

今回、「老後に2000万円」というフレーズをきっかけにして、多くの国民が自分の老後資金の準備について向き合うチャンスを得たと思います。

なかなか教えてもらえなかったお金の常識が明らかになり、「退職金にプラスアルファの経済的備えをもってリタイア生活に入ろう」というイメージが共有されたのであれば、(誤解も相当多かったですが)この問題も有意義であったのかもしれません。

若いうちから自分の老後と向き合うことはきわめて重要です。住宅ローンや子の学費準備とともに「自分の老後資産形成」にも目を配る時代に来ているからです。

あなたがもし、「老後に2000万円」問題を自分のものとして考え、行動をすることができれば、不安を解消し、乗り越えることはできるはずです。

今回の騒動を不安を募らせたまま終わらせてはいけません。これがきっかけになり、国民の老後資産形成への取り組みが進展する結果となれば本当によいと思います。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「スマホ1台で1000万円得する! マネーアプリ超活用術」(PHP研究所)など。http://financialwisdom.jp
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ビジネスパーソンの住まいと暮らし
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