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「音楽が聞こえる」歯ブラシ 京セラとライオンが開発

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日経クロストレンド

京セラライオンソニーのスタートアップ支援プログラムを通じ、子供の仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」を開発した。ソニーが運営するクラウドファンディングサイトで事業化に向けた支援を募集する。大手3社によるコラボは各社ともに初の試み。BtoCのノウハウを得たい京セラの発案で始まった。

振動が歯に伝わり、口の中で音楽が広がる?

ポッシは歯ブラシが歯に当たるとブラシのヘッド部分から振動が伝わり、音楽が楽しめるのが特徴。歯磨きが苦手な子供(0~5歳児)でも、楽しく歯を磨けるようにと開発された。メインターゲットは父親で、積極的に育児に参加してほしいという思いがある。スマートフォンなどの音楽が再生できる機器と有線でつなぐと電源が入り、ブラシが歯に当たると振動とともに音楽が口腔(こうくう)内に流れ子供にだけ聞こえる仕組み。

2019年7月3日からソニーのクラウドファンディングサイト「First Flight」で事業支援を開始。本体、替えブラシ3本、電池2本、オーディオケーブルのセットで1万7500円(税込み)で、先着300セットは1万4800円(同)ですでに売り切れた。目標額は2000万円。7月30日現在の達成率は38%で、760万300円が集まっている。

京セラは歯ブラシ以外の本体を担当し、歯ブラシに内蔵する振動伝達アクチュエーターや本体内蔵アンプなどを自社技術で製造する。ライオンはアクチュエーターを組み込んだ歯ブラシ部の製造を担当。ソニーはスタートアップの創出と事業運営を支援する「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」を通じてインキュベーションやマーケティング、ものづくりに関するノウハウを伝えるとともに、今回はデザインやコンセプトメイキングも担当した。さらに時間管理や軌道修正といった、プロジェクト全体のマネジメントもソニーの役割だ。

京セラ研究開発本部メディカル開発センターの稲垣智裕氏は、自身も0、4、6歳の3児の父親。「仕上げ磨きに悪戦苦闘する日々を何とかしたいという思いで発案した」という。京セラはオープンイノベーションで社外連携を強めて新規事業創出に注力しており、SSAPに協力を仰いで18年10月にプロジェクトがスタートした。

ソニーStartup Acceleration部 Business Launch Teamプロデューサーの宮崎雅氏は、稲垣氏が提示したファンディングの希望開始時期をゴールに設定。開発期間はそこから逆算し、現実的かつ最短の「9カ月」とした。大手企業3社のコラボで新製品を開発する時間として9カ月は異例の速さだ。しかもスタート当初、稲垣氏のアイデアは「京セラの圧電セラミック素子を用いた音の鳴る歯ブラシ」というものだけで、歯ブラシ部分の製造を任せるパートナー候補も決まっていなかった。

宮崎氏に背中を押され、パートナーを探す稲垣氏が協力要請したライオンが参加したのは、19年1月からだった。「歯ブラシのリーディングカンパニーのライオンさんに断られたら、このプロジェクトは頓挫すると思っていた」と稲垣氏は振り返る。

企業の都合優先ではイノベーションにならない

ライオンは製造以外にも振動伝達効果と清掃性を両立するブラシ部の設計、振動アクチュエーターを内蔵した独自の「中空構造」のプロトタイピング、そして品質評価を手掛けた。同社イノベーションラボの萩森敬一氏は、「途中参加ということもあり、9カ月という期間設定はとてもタイトだった。京セラとの調整が難しい場面でも宮崎氏が軌道修正をしてくれたおかげで達成できた」と、緊迫した開発現場だったことを明かす。

宮崎氏も「京セラ、ライオンという大手企業のコラボで、このスケジュールでは難しいかもしれないと思ったが、両社の都合で落としどころを探しているとイノベーションにならない。歯ブラシの向き一つでも両社の考えは違ったが、ユーザーの使いやすさだけを優先して決めた。根底には互いを尊重する思いがあり、それがロゴにも表現されている」と語る。

宮崎氏の思いは両社に共有された。萩森氏は「スピード感についていくのに苦労したが、同じ父親として製品への強い思いがあった。普段は多層化する意思決定を、現場判断で先行することも多かった」と明かす。イノベーションラボ自体が18年に新規事業創出を目指し新設され、ライオンの掬川正純社長が19年から事業活動のスピードアップを宣言していることも後押しし、異例だが「自信をもって判断した」という。

座組の発起人である京セラの稲垣氏も、「煩雑な社内調整が必要な通常の事業とは違う、特別なルートだからこそ成立した」と話す。京セラはBtoB、BtoCともにオープンイノベーションを推進しており、社外パートナーとの開発経験もあるが生活用品では初めて。

稲垣氏は「技術者はどうしても作ることしか意識がいかない。BtoCで新規事業を創出するノウハウをソニーに与えてもらうために参加したが、お客さま目線に立つこと、ユーザーの声がすべてで主観を入れないことを教わった。ポッシは高価格の商品なので、よりコンセプトを売っていくことが大切だ」と、SSAPを通じたプロジェクトでの成果を実感する。

京セラも19年からスタートアップを活発化させる。稲垣氏も「既に出ているアイデアの種を実現できるように、今度は自分がプロデューサー的な役割を担っていきたい」と意欲を見せる。ポッシが子育て中の父と子の心をつかんでファンディングを成功させれば、京セラ、ライオン、ソニーそれぞれのスタートアップの機運に弾みがつくだろう。

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2019年7月11日の記事を再構成]

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